大名の国替えや幕府要職をめぐる人事の泣き笑いは、現代の企業社会も同じ。様々なエピソードを通じ江戸時代を読み解く歴史読み物。

定価:本体850円+税
発売日:2020年02月12日
ISBN:978-4-532-26420-8
並製/新書判/240ページ
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おすすめのポイント

いつも辞令は突然! 時間も金もない!
大名たちは幕府(将軍)の命ずる「人事」という難関を、あの手この手でクリアした。

江戸時代は、お国替えという名の大名の異動が繰り返された時代。御家騒動や刃傷沙汰、世継断絶から、職務の怠慢、色恋沙汰に酒席の狼藉に至るまで、その理由は多岐にわたる。大名や家臣たちはその都度、多大な苦労を強いられ、特に転封では長距離の移動、費用など、負担もただならぬものがあった。大名は幕府(将軍)からの異動命令を拒むことは許されず、いつ命令が出るのか、国替えを噂される藩の江戸詰め藩士は、必死で情報の収集に努めていた。国替えは突然に命じられることが大半であり、当事者の大名や家臣は大混乱に陥るが、幕府からすると人事権を行使することで自己の求心力を高められる効果があった。

転封だけではない。大老や老中、奉行など幕閣の要職を誰が占めるのかも大名にとっては重大問題。将軍の人事権が威力を発揮するのは花形の要職だが、その裏では嫉妬と誤算が渦巻いていた。将軍家斉の信任を得ていた老中松平定信は辞表を提出し続けることで権力基盤を強化したが、最後は辞表が命取りとなり失脚した。辣腕ぶりで江戸庶民に人気が高かった火盗改長谷川平蔵は、それゆえ上司や同僚の嫉妬を浴び町奉行に就任できないまま終わったのだ。

本書は、将軍が大名に行使した国替えという人事権、そして幕府要職者にまつわる人事異動の泣き笑いを通して、江戸時代を読み解く歴史読み物。権力の象徴としての人事とそれをめぐる悲喜こもごものドラマは、江戸期の政策や各地の国づくりを浮き彫りにすると共に、現代の企業社会にも通じるものがある。嫉妬、忖度、ごますり、足の引っ張り合い――お殿様たちの様々なエピソードは、身近にいる誰かを連想させてくれるかもしれない。

編集者より

「誰某さんが部長になるらしい!」
「あの人、なんで飛ばされちゃったの?」
会社員にとって人事は蜜の味。居酒屋トークでの人事ネタは盛り上がること間違いなし。時にはひとり、こっそりシミュレーションをしてみたり……。

日本が巨大なひとつの会社組織だったとも言える江戸時代も同じでした。幕府(将軍)が命ずるお国替えという名の人事異動が繰り返され、大名達は突然の辞令に慌て、引っ越しに伴う多大な苦労を強いられていました。また幕閣の要職を巡っては、嫉妬による足の引っ張り合いも行われていました。

昇進のため20年間も有力者のもとに通い詰めた旗本。
国替えに伴う未納年貢問題で犬猿の仲になった黒田家と細川家。
上司や同僚の嫉妬から出世できなかった長谷川平蔵。
将軍の人事権をも操った大奥の実力者。

本書は、歴史研究者として定評ある筆者が、おなじみの人物も取り上げながら、人事をめぐる泣き笑いを様々なエピソードとともに紹介。人事を通して江戸時代の組織と権力闘争を描き出す、歴史ノンフィクションです。

(2020.2.6)

目次

  1. プロローグ

    第Ⅰ章 国替えのはじまり~秀吉・家康からの異動命令

    第Ⅱ章 国替え・人事異動の法則~幼君・情実・栄典・懲罰

    第Ⅲ章 国替えの手続き~指令塔となった江戸藩邸

    第Ⅳ章 国替えの悲喜劇~引っ越し費用に苦しむ

    第Ⅴ章 人事異動の悲喜劇~嫉妬と誤算

    第Ⅵ章 国替えを拒否したお殿様~幕府の威信が揺らぐ

    エピローグ 国替えを命じられた将軍様

著者・監修者プロフィール

安藤 優一郎(あんどう ゆういちろう)

歴史研究者(日本近世政治史・経済史専攻)
1965年千葉県生まれ。早稲田大学教育学部卒業、同大学院文学研究科博士後期課程満期退学。文学博士(早稲田大学)。大学の生涯学習講座の講師のほか、JR東日本「おとなの休日」倶楽部のナビゲーターとして旅好きの中高年の人気を集め、NHKラジオ深夜便などでも活躍。

※本データは、小社での最新刊発行当時に掲載されていたものです。

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