遣隋使から始まる1500年間におよぶ日中関係を網羅。世界的に重要かつ危険な二国関係を歴史から理解し、21世紀のアジアの趨勢を読む。

日中関係史
1500年の交流から読むアジアの未来

定価:本体3,000円+税
発売日:2019年12月19日
ISBN:978-4-532-17674-7
並製/四六判/652ページ
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おすすめのポイント

GDP世界二位の中国と、三位の日本の関係は、米中関係に次いで世界で二番目に重要な二国間関係だと言える。だが、日中関係は「緊迫」「危険」「難解」「複雑」という言葉が当てはまる。尖閣諸島周辺では、いまなお両国が日常的に対峙し、危険な衝突が起きる可能性が高い。もし二国間関係の取り扱いを間違えば、両国は軍拡競争に走り、二国間、地域、グローバルな問題での協力は行き詰まり、最終的には紛争になるだろう。

だが、日中関係を適切に取り扱うことができれば、両国は国際秩序と地域の協力枠組みを守るために協力し合える。貿易、経済建設、研究開発、平和維持、自然災害対応などの分野で、両国は力を合わせていけるはずなのである。

日中の指導者たちは、両国関係を発展させていくには、相手国が歴史に対して真摯に向き合うべきだと発言している。日中関係は1500年にわたる長い歴史を持ち、両国国民は過去の歴史に対する深く複雑な感情を有している。そのため、両国の研究者が集まって歴史観をすり合わせようとしても、新たな緊張関係を生みだし、重要な問題についてはほとんど合意が得られない。

しかし、両国の協力関係と友好関係のためには、歴史問題の超克は不可避の課題だ。本書は、日中両国の研究者であるエズラ・ヴォーゲルが、7世紀の遣隋使以来の1500年間におよぶ日中関係を網羅し、第三国人の視点から客観的な日中関係史を提供するものである。

目次

  1.  まえがき
     凡例

    第1章 中国の日本文化への貢献――六〇〇~八三八年
     推古天皇以前の日中接触と日本の学びの基盤
     六〇〇年以降、日本はいかに中国から学んだか
     言語、文学、音楽
     仏教
     建築
     通貨、そして商業経済の始まり
     中国からの学びの遺産

    第2章 革新的な学びを伴わない貿易関係――八三八~一八六二年
     港湾管理官、商人、僧侶――八三八~一四〇三年
     日中間の二度目の衝突――一二七四年および一二八一年の元軍の九州侵攻
     朝貢使節の復活――一四〇三~一五四七年
     倭寇、そして中国でのその永続的イメージ
     日中間の三度目の衝突―─一五九二~一五九七年、豊臣秀吉の朝鮮侵攻
     江戸時代・清朝期の地域情勢
     江戸幕府の対外関係
     明朝の遺臣の台湾・日本逃亡
     江戸時代の日本と清朝期中国の貿易
     清に対する徳川家の三つの見方―─国家主義者、漢学者、貿易商人

    第3章 西洋諸国への対応と関係再開―─一八三九~一八八二年
     西洋諸国の要求に対する日本の強み
     一八六〇年代の転換点
     中国と日本の外交管理
     「千歳丸」の訪問―─一八六二年
     条約交渉─―一八七〇~一八七三年
     台湾と琉球をめぐる交渉―─一八七三年
     中国公使館の東京開設─―一八七七年
     外に向かう日本─―一八六九~一八七九年
     日本の軍事的野心─―組織的な計画か、予想外の展開か?

    第4章 朝鮮をめぐる競争と日清戦争―─一八八二~一八九五年
     壬午軍乱と日清両国の派兵
     金玉均による甲申政変の失敗―─一八八四年
     福澤諭吉、中国文化との決別を唱える
     日本国民の海外進出への支持の拡大
     日本による清国情報の収集―─一八八〇~一八九四年
     日清戦争の前兆―─一八九四年
     日清戦争―─一八九四~一八九五年
     下関条約―─一八九五年
     三国干渉
     日本勝利の衝撃

    第5章 日本に学ぶ中国の近代化――一八九五~一九三七年
     日本の勝利を分析
     戊戌の変法と日本モデル
     近衛篤麿と「アジア人のためのアジア」外交
     日中協力関係のための基礎づくり
     過激な排外主義から新たな親日政策へ
     中国人官僚の日本視察
     中国で顧問、教師として活動した日本人
     教員養成と大学の発展
     治安部隊の構築
     新たな共和国への新たな法的枠組みの構築
     中国人学生と日本人教師
     日本で教育を受けた学生と中華帝国の終焉
     学んだ教訓と先送りの協力関係

    第6章 台湾と満洲の植民地化――一八九五~一九四五年
     日本統治下の台湾――一八九五~一九四五年
     日本統治下の満洲――一九〇五~一九四五年
     日露戦争――一九〇四~一九〇五年
     日本軍による満洲侵略
     南満洲鉄道と関東軍による支配――一九〇五~一九三一年
     満鉄
     関東軍
     張作霖、張学良と日本
     満洲事変――一九三一年
     満洲国――一九三一~一九四五年
     満洲と中国のナショナリズム
     台湾および満洲における植民地化の遺産

    第7章 政治的混乱と戦争への道――一九一一~一九三七年
     中国の混乱と辛亥革命
     明治天皇崩御とその後の日本の混乱
     混乱から軍部の支配へ――一九一一~一九三七年
     中国の弱い政府と強い主張――一九一五~一九三七年
     対華二十一カ条要求、パリ講和会議、中国ナショナリズムの噴出
     ワシントン会議、原敬、幣原喜重郎
     長江デルタの混乱と中国ナショナリズムの高揚
     田中義一、蒋介石、済南での失敗
     張作霖爆殺
     濱口内閣とさらなる暗殺
     満洲での不服従
     日中の敵対化
     蒋介石による日本融和政策の最後の試み
     蒋百里と、中国による日本打倒計画
     融和政策から統一戦線へ
     戦争前夜

    第8章 日中戦争――一九三七~一九四五年
     戦争前夜の軍事バランス
     華北と上海での軍事行動――一九三七年七月~一一月
     南京大虐殺――一九三七年一二月
     徐州と武漢の会戦――一九三八年
     傀儡の国民政府
     日本占領地域の統治
     戦時の中国に在留した日本人
     非占領地域
     一号作戦
     日本本土
     戦争の遺産

    第9章 大日本帝国の崩壊と冷戦――一九四五~一九七二年
     大日本帝国の崩壊
     大移動と日本人アイデンティティの縮小
     満洲における日本資産の奪い合い
     中国内戦と再統一――一九四五~一九四九年
     連合国による占領と日本の再編成――一九四五~一九五二年
     朝鮮戦争と日中関係の凍結――一九四八~一九七二年
     植民地から通商パートナーに転じた台湾――一九四七~一九七二年
     国交正常化前の日本と中国の接触チャネル――一九四九~一九七二年
     周恩来と鳩山一郎の関係改善の努力――一九五三~一九五六年
     中国の政治的締め付けと岸信介首相――一九五七~一九六〇年
     貿易関係の改善とLT事務所――一九六〇年代
     内向き中国と文化大革命――一九六六~一九六九年
     朝海の悪夢と田中角栄内閣――一九七〇~一九七二年

    第10章 協力――一九七二~一九九二年
     限定的な開放
     中国「改革開放」に向けた日本の全面的支援の始動
     中国の財政緊縮――一九七九~一九八一年
     日本の経済的助言、援助、協力
     一九八〇年代の文化交流
     一九八〇年代の政治的摩擦
     天安門事件後、日本はすぐに制裁を解除

    第11章 日中関係の悪化――一九九二~二〇一八年
     天皇の中国訪問
     一九九二年以降の日中関係緊張の原因
     中国の愛国主義教育の推進
     アジアで優勢に立つ中国
     尖閣諸島問題
     中国優位への転換――一九九三~二〇一二年
     最悪の日中関係――二〇一〇~二〇一四年
     習近平、安倍晋三、そして日中関係の安定化
     持続する経済関係
     二〇一四年以降の日中関係の緊張緩和
     米中関係の緊張が高まる中での日本――二〇一七年

    第12章 新時代に向かって
     二〇一四年以降の日中関係
     中国指導者の懸念と歴史の利用
     日本との交流経験が少ない中国指導者
     将来に目を向けつつ、歴史と向き合う
     日中が歴史を直視するためにできること
     新しいビジョン――政温経熱
     日中協力のためのアジェンダ

     主要人物の経歴
     謝辞
     訳者あとがき
     原註
     参考文献とさらなる読書リスト

著者・監修者プロフィール

エズラ・F・ヴォーゲル(えずら・えふ・う゛ぉーげる)

ハーバード大学ヘンリー・フォードII世社会科学名誉教授
1930年アメリカ・オハイオ州生まれ。1958年にハーバード大学にて博士号(社会学)を取得後、日本語と日本の家族関係の研究のために来日し、2年間滞在。それからは毎年日本を訪問している。61年秋から中国研究および中国語の習得にも着手。広東省の社会変容の研究で顕著な功績を残す。67年にはハーバード大学の教授に、72年には同大の東アジア研究所所長に就任。79年に『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を発表し、日本でベストセラーに。93年から95年にかけて国家情報会議(NIC)東アジア担当の国家情報官に就任。2000年に教職から引退し、10年以上を費やして『現代中国の父 鄧小平』を執筆。同書は中国でミリオンセラーを記録したほか、外交関係書に贈られるライオネル・ゲルバー賞、全米出版社協会PROSE賞特別賞を受賞し、エコノミスト誌、フィナンシャル・タイムズ紙、ウォール・ストリート・ジャーナル紙、ワシントン・ポスト紙などの年間ベストブックに選ばれ、全米批評家協会賞ファイナリストにも選出された。日本に関する本が日本で、中国に関する本が中国でベストセラーになった唯一の学者である。講演は日本語や中国語で行っている。

※本データは、小社での最新刊発行当時に掲載されていたものです。

益尾 知佐子(ますお ちさこ)

九州大学大学院比較社会文化研究院准教授
専門はユーラシア国際関係、現代中国の政治・外交。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。日本学術振興会特別研究員(DC1、海外、PD)、日本国際問題研究所研究員、エズラ・F・ヴォーゲル教授研究助手、ハーバード大学イエンチン研究所協働研究員、中国社会科学院訪問学者、外交学院訪問学者などを歴任。単著に『中国政治外交の転換点――改革開放と「独立自主の対外政策」』(東京大学出版会、2010年)、『中国の行動原理――国内潮流が決める国際関係』(中公新書、2019年)、共著に『中国外交史』(東京大学出版会、2017年)、共訳書に『現代中国の父 鄧小平』(日本経済新聞出版社、2013年)などがあるほか、共著、論文多数。英語と中国語でも研究活動を行っている。

※本データは、小社での最新刊発行当時に掲載されていたものです。

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