花粉症、アトピー、自己免疫病、臓器移植の拒否反応は、なぜどんな仕組みで起こるのか。ノーベル賞の呼び声が高い岸本忠三・大阪大学総長が、身近な病気を通して、現代免疫学の神髄をリアルに平易に語り明かす。

現代免疫物語
花粉症や移植が教える生命の不思議

定価:本体1,700円+税
発売日:2000年11月09日
ISBN:978-4-532-16346-4
上製/四六判/333ページ
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花粉症、アトピー、自己免疫病、臓器移植の拒否反応は、なぜどんな仕組みで起こるのか。ノーベル賞の呼び声が高い岸本忠三・大阪大学総長が、身近な病気を通して、現代免疫学の神髄をリアルに平易に語り明かす。

目次

  1. プロローグ

    第 1章 石坂物語

    ボルチモアの大雪/第五の抗体発見競争/背中を使って/ライバルの出現/日本の研究者の輪/北里物語

    第 2章 花粉症物語

    日光杉並木の怪/斎藤医師、日光着任/杉花粉症、日本に初登場/花粉症はどうして起きる/免疫の使徒たち/アレルギー治療に展望/アトピー、ぜんそくにはステロイドが有効/なぜ増えた花粉症?/感染症の減少が主因?/アレルギーは警報/アナフィラキシー・ショック――― 諸刃の剣/アレルギーは移る――― PK反応の発見

    第 3章 結核物語

    結核復活/結核もアレルギー/死んだ菌でも空洞が/腸チフスや肝炎にも免疫の影/ツベルクリンもアレルギー/アレルギーからわかったもう一つの免疫システム/コッホ余話/DNAワクチンへの期待

    第 4章 T細胞物語

    免疫の司令塔、T細胞の働き明らかに/抗体誕生のメカニズム/抗体の影に情報伝達分子/ホルモンもサイトカイン?/花粉症の元凶はヘルパー2T細胞/マクロファージが握る花粉症の秘密/DNAワクチンの意外な効果/花粉症の抑制にも期待

    第 5章 移植物語

    阪大で心臓移植/拒絶反応と感染症防止の綱渡り/「他」を拒む免疫/六〇年代の挑戦と失敗/シクロスポリンが閉塞状況打開/患者回復、緊張の局面も/免疫は移植を想定していない/組織適合抗原の秘密/日本生まれの免疫抑制剤「FK506」

    第 6章 骨髄移植物語

    骨は人を支えるだけにあらず/世界初の骨髄移植/バブル・ボーイ/男の子に多い免疫不全症/遺伝子治療に救い/研究者悩ませた免疫不全症/一世を風靡したロバート・グッド/ペインテッド・マウス/白血病にも骨髄移植/臍帯血移植と末梢血幹細胞移植/東海村の被ばく事故/放射線は免疫の天敵

    第 7章 胸腺物語

    グリックの失敗/胸腺の謎解いたミラー/ヌード・マウス/無駄こそ安全弁/自殺するT細胞/T細胞の異物探知センサー「T細胞受容体」/自分と外敵を同時に見る/二種類のMHC分子――― 「クラスI」と「クラスII」/二十年後のノーベル賞/MHC分子の発見/ワイズマン研究所のウサギ/外敵を受け入れる免疫寛容の謎/免疫寛容を人の手で

    第8章 次世代移植物語

    脳死移植に限界/異種移植への期待と壁/補体鈍らせ超急性拒絶反応を抑制/課題も山積、異種移植/マラリア対策に手がかり/ドリーが描いたクローン臓器の夢/クローン人間は禁止/もう一つの夢、万能細胞/カエルでは臓器の分化に成功/開発難しい人工心臓/人工補助心臓は実用段階/「パンドラの箱」への恐れ

    第 9章 抗体の不思議物語

    歴史を刻んだモノクローナル抗体/日本生まれの細胞融合/細胞融合が作り出した「ポマト」/ミルシュタイン、モノクローナル抗体の生産に成功/抗体の混合物はいらない/細胞表面分子「CD」の発見に貢献/どこまで増える表面分子/診断薬や治療薬にも利用/抗体は五種類ではない?/利根川の驚異の発見、遺伝子の再編成/生命観にも重大な変更/B細胞とT細胞の不思議な接触

    第10章 サイトカイン物語

    長野泰一の「ウイルス抑制因子」の発見/インターフェロンの登場/谷口、βインターフェロン遺伝子発見/間髪入れず長田がαインターフェロン/師弟三人で共同論文/自殺スイッチFasの秘密/免疫からのアプローチ/胸腺細胞を分裂・増殖させる分子も/B細胞とT細胞にもメス/評価されなかった情報分子/襲う相手は一つ/「特異性」の呪縛/血液学でも情報分子/メトカーフ、CSFを発見/赤血球増多因子を補捉/米アムジェンの成功/赤血球増やして好記録/G―CSFの発見/副作用なく医薬に

    第11章 インターロイキン物語

    高月清が成人T白血病を発見/ギャロ「TCGF」を発見/名称統一へ国際会議/ギャロとメトカーフの不運/IL2遺伝子の解明/新情報分子相次ぎ発見/情報分子は出世魚?/驚きのインターロイキン6登場/紙一重の一番乗り/病気は血のにごりから/ニューヨークの会議で「IL6」誕生/血小板増多因子の探索へ/初期はインターロイキン6が有力に/リウマチ診断に根拠与えたIL6/カポジ肉腫にもIL6の影/IL6はキャッスルマン病でも暗躍/ミエローマを作る夢のネズミ

    第12章 TNF物語

    もう一つのあいまい分子、TNF/姿見せぬ日本の企業研究者/悪液質の犯人だったTNF/発想転換、動き封じて医薬に/あいまい情報分子に危険はないか/安全ネットも巧妙に準備

    第13章 受容体物語

    受容体のハンティングへ/内山卓がIL2「受容体」を発見/次はβ鎖の遺伝子/γ鎖遺伝子、日米で同時発見/免疫不全症の遺伝子治療にも貢献/受容体ファミリーの登場/新たな驚きgp130/gp130と心臓/TNFの受容体はFasだった/遺伝子の配列ミスが招く免疫不全症/謎が解けた重症複合型免疫不全症/ブルトン型無ガンマグロブリン血症も解明/高IgM免疫不全症にもメス/細胞内情報伝達の主役、STAT/アレルギー解消に道?

    第14章 エイズ物語

    エイズ襲来/成人T細胞白血病(ATL)ウイルス発見/「不変の真理」の崩壊/ATLVはレトロ・ウイルス/重要容疑者はIL2/ATLVの遺伝子でリウマチに/日本人の起源とATLV/ギャロのHTLV発見/比叡山の国際会議/ATLVとHTLVの対決に決着/迷走する謎解き/ウイルス説に勢い/モンタニエ、LAV発見/スキャンダル発生/こじれた背景に巨大市場/世界で起きた悲劇/玉虫色の決着

    第15章 エイズ克服物語

    人類絶滅の危険も/やっかいな変身/HIVの起源はアフリカ --- 本当は人間が悪い?/HIVの tat遺伝子の謎/HIVは脳も侵す/エイズ死者減らしたカクテル療法/免疫細胞を乗っ取るHIV/HIVの増殖プロセスを断ち切れ/第三世代の治療薬開発に光/ギャロの先駆的な実験/情報分子の異端児、ケモカイン/ケモカインは二つに大別/PBSFかSDFか、阪大対京大/「第二の足場」分子の正体は?/HIVは最初にマクロファージに感染/本命はCCR5のブロッカー/日本の武田がブロッカー発見

    第16章 自己免疫疾患物語

    原因不明の全身性エリテマトーデス/自己免疫疾患の引き金は?/胸腺の排除ミスも自己免疫疾患の原因?/免疫のルールを守らぬ巨悪「スーパー抗原」/体内の「外なるもの」眼球の不思議/ウイルスは外からやってきた「自分」

     エピローグ

著者・監修者プロフィール

岸本 忠三(きしもと ただみつ)

大阪大学学長。1939年大阪府富田林市生まれ。64年大阪大学医学部卒、69年阪大大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。阪大教授、医学部長を経て97年から現職。米国立科学アカデミー外国人会員、日本学士院会員。90年文化功労者72年日本学士院賞・恩賜賞受賞、98年文化勲章受賞。著書に『なぜかと問いかける内科学』(1995年、中山書店)など。

※本データは、小社での最新刊発行当時に掲載されていたものです。

中嶋 彰(なかしま あきら)

日経産業消費研究所主席研究員。1954年兵庫県山崎町生まれ。1977年東京大学工学部を卒業し、日本経済新聞社入社。編集局科学技術部次長、科学技術担当編集委員、「日経テクノフロンティア」編集長を経て、2001年秋、日本初のナノテクノロジー情報誌「日経先端技術」の編集長に就任。2003年春から現職。 <主な著書>『現代免疫物語』(共著、日本経済新聞社)、『人間発見―時代を変革する50人』(共著、日本経済新聞社)、『独走の軌跡―現代科学者伝』(共著、日経サイエンス社)などがある。

※本データは、小社での最新刊発行当時に掲載されていたものです。

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