中国企業の債務拡大はもう限界。バランスシート調整、金融危機による不況リスクが高まっている。独自分析で危機の深層を明らかに

中国 経済成長の罠
金融危機とバランスシート不況

関辰一
定価:本体2,200円+税
発売日:2018年05月28日
ISBN:978-4-532-35767-2
上製/四六判/208ページ
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おすすめのポイント

不良債権は公式統計の10倍、
企業債務は8年で4倍に急増――
日本のバブル崩壊と同じ道をたどるのか?
気鋭の研究者が、独自のデータ分析を基に、中国経済に潜む脆弱性を明らかにする。

中国で日本のバブル崩壊が再現される可能性が高まっている。リスクシナリオは2つある。1つは、金融危機が発生するという資金供給面でのシナリオだ。もう1つは、バランスシート不況に陥るという資金需要面でのシナリオである。
筆者は、2022年までに中国経済がいずれかのリスクシナリオに陥る可能性は40%と見る。リスクの所在は、巨額な不良債権と企業債務にある。
中国の不良債権問題は深刻である。高成長が終焉する中、不良債権の増加が金融機関の経営を圧迫している。中国の金融機関が抱える潜在的な不良債権は政府の公表値を大きく上回る。すでに一部の中小金融機関が債務超過に陥り、取り付け騒ぎも発生した。金融機関の連鎖的な破綻が生じ、金融危機が発生するリスクを払拭することはできない。
また、中国の企業債務はすでに危機水域まで達した。銀行からの借入金などを含む企業債務残高の対GDP比はすでに日本のバブル期を上回る。いつ企業が過大な債務と資産の目減りへの対応から、バランスシート調整を余儀なくされ、その結果、債務返済を優先する一方、設備投資需要が縮小しても不思議ではない状況だ。
――「はじめに」より

目次

  1. はじめに
    バブル期の日本とよく似た中国
    バブル崩壊が起きる可能性は40%
    問題先送りの構図
    本書の構成

    第1章 高まる金融危機発生のリスク
    取り付け騒ぎが発生
    公式統計は実態を表しているのか
    隠される不良債権
    潜在不良債権比率の先行研究
    潜在不良債権比率は公式統計の5倍
    高リスクの重工業
    潜在不良債権比率の特徴と限界
    不良債権規模は公式統計の10倍
    危機発生のトリガーに
    中国で最も危険な銀行
    政府の対応にも不安材料
    今後5年で景気失速の確率40%

    第2章 シャドーバンキングとは何か
    銀行融資以外で資金を供給
    史上最高を更新した短期金利
    デフォルトに直面する理財商品
    様々にあるシャドーバンキングの定義と規模推計
    銀行理財商品、委託融資、信託融資
    シャドーバンキングが拡大した3つの要因
    非持続的スキームが抱える大きなリスク
    サブプライム・ローン問題と似た構図

    第3章 経済発展がもたらした問題
    大きな節目となる2018年
    社会主義計画経済の理想と現実
    コントラストが鮮明な日本と中国
    改革開放後に活気づく農村部
    非国有経済が牽引する都市部の発展
    急速に向上する生活水準
    大きな所得格差が発生
    過剰投資、過剰設備の問題
    金融リスクの高まり

    第4章 危機的な水準にある企業債務
    日本のバブル期を上回る企業債務
    過剰な実物投資と金融資産投資
    「脱実向虚」によるいびつなバランスシート
    財テクに走ったバブル期の日本企業
    不動産市場―バブルの様相を呈す
    株式市場―株価下落で財務悪化の悪循環
    委託融資の実態―企業間の危険なマネーゲーム
    ゴルフ会員権も投機対象に
    重要な国有企業もマネーゲームに参加
    企業の過度なリスクテイクの弊害

    第5章 迫るバランスシート不況
    バブルが起きる仕組み
    日本のバブル崩壊はなぜ起きたか
    バランスシート不況のリスクに直面
    チャイナショックはなぜ起きたのか
    ミニクライシス: 2015年
    低下する金利弾力性
    いつ景気失速しても不思議ではない

    第6章 政府の債務保証による歪み
    深刻なモラルハザードの発生
    「剛性兌付」―元本が固く守られた社債
    政府介入で企業の破綻を回避
    市場の歪みによる低い資金調達コスト
    不透明な政府補助金
    続く国有企業への政府保証

    第7章 リスク・コントロールは可能か
    財テクで企業債務が急拡大
    金融機関の課題
    政府の課題
    重荷を担わされた習近平政権
    過剰債務を解消する5つの方策

    第8章 問題先送りの構図
    政府の危うい処方箋
    金融システムの源流
    建国初期の金融混乱
    不徹底な金融制度改革
    バブル期の日本と似た中国の金融システム
    国有企業の淵源にあるもの
    経営請負制度の導入
    株式会社化という改革
    国有企業改革の不十分な実態
    再び増え始めた国有企業
    国有企業強大化による歪み

著者・監修者プロフィール

関 辰一(せき しんいち)

日本総合研究所副主任研究員
1981年中国・上海市生まれ。91年に来日し、家族と共に日本国籍を取得。2004年、早稲田大学政治経済学部卒業、06年、早稲田大学大学院経済学研究科修士課程修了。野村證券金融経済研究所などを経て、08年、日本総合研究所研究員。15年から現職。18年、拓殖大学博士(国際開発)。
専門は中国経済・金融。「社債市場からみた中国のモラルハザード問題」日本総合研究所『環太平洋ビジネス情報RIM』2017 Vol.17 No.64など論文多数。

※本データは、小社での最新刊発行当時に掲載されていたものです。

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