趣味をお金に換える発想

投資よりも大切な「お金の考え方」:第5回

臼井由妃(著述家、講演家、熱海市観光宣伝大使)

 お金を増やそうと、投資をはじめる方も多いと思います。しかし、投資をする前に、まず「お金の考え方」を見直してみては、とベストセラー『やりたいことを全部やる!時間術』の著者、臼井由妃さんは話します。本連載では、その「考え方」について、多額の負債を抱えていた会社を年商23億円の優良企業へと立て直された経歴をお持ちの、臼井由妃さんのお話をお届けします。

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趣味をお金に換える発想を持つ

 そう言うと、「ただでさえ忙しいのに、今さら趣味を追求しなければならないのか?」「稼ぐという発想をしないからこそ“趣味”と言えるのではないか?」……こんな声が聞こえてきそうですね。

 その想いは、よくわかります。私は、33歳で、病身の夫に代わり、ビジネスの経験がないまま経営者に就任。借金だらけだった会社を立て直すことが私の使命で、「趣味にうつつを抜かす時間があるなら、仕事に役立つ人に会ったり、勉強してビジネススキルを磨いたりすべき」と考えていたからです。

 しかし、59歳を迎えるころから、「仕事とは全く関係のないところに、自分の楽しみを見つけてもよいのではないか?」と考えるようになりました。それはビジネスパーソンが“定年退職”を前に、「自分から今の仕事を取ったら何が残るのか? まだまだ元気に働けるのに……」と思うことに通じるものだったのかもしれません。

 仕事も人間関係もそつなくこなす優秀なビジネスパーソンのなかには、プライベートを犠牲にして仕事に励んでいる方もいらっしゃるでしょう。しかし、仕事一辺倒では、会社を離れた時や、やりがいを感じていた仕事から離れざるを得ない事態が生じた時に、焦燥感や虚無感に襲われかねません。

趣味に「商品価値」を見い出す

 趣味をお持ちの方は、思い出してみてください。趣味を楽しんでいる時間は、仕事の忙しさや人間関係の煩わしさを忘れているのではありませんか? 仕事で心身をすり減らしているビジネスパーソンにこそ、そういった時間が必要なのだと思います。

 「好きこそ物の上手なれ」は、ビジネスよりも趣味の世界にあてはまります。あなたの趣味には、自分では気づかない「商品価値」があり、他者が関心を寄せたり、教えを求めたりする「需要」があるかもしれません。あなたの潜在能力は無限です。会社の肩書きを外し、仕事を離れたあなたの商品価値はどこにあるのか……趣味を持つことは、それを知る良いきっかけになるかもしれません。逆に、趣味が仕事に好影響を与えることもあります。

 悪筆に悩んでいた方が「ペン習字」を学び綺麗な文字に変化したら、その「達成感」や「高揚感」がモチベーションにつながり、仕事の成果もあがった。自他とも認める不器用な方が、DIYにチャレンジしたら、いとも簡単に机を製作。仕事でも苦手意識を持たなくなり、みるみる昇進していった。こんな例を、私は見てきました。

 「趣味は仕事ではないのだから、そこそこ、できるようになればいい」。そう思って肩の力を抜いて取り組む方がほとんどです。そして、意外なほどうまくいくのです。その結果、仕事へも好影響をもたらします。趣味を楽しみ、仕事もうまくいくなんて、素晴らしいではありませんか。だからこそ、気楽にはじめられる趣味を「お金の源泉」として捉えてほしいのです。

 多趣味で、何がお金の源泉になるか分からないという方もいらっしゃると思います。そんな方は、周囲にさりげなくアピールしてみてはいかがでしょう。カラオケならば「大会で歌唱賞をもらった」、油絵ならば「銀座の画廊に展示された」、DIYならば「コンテストで入賞した」など……。

 すると、高評価だけではなく、芳しくない声が聞こえてくることもあります。そんな時は、「良くも悪くも反応があるのは、商品価値がある証拠だ」と捉えてください。あなたの趣味を、寝かせたままではもったいない。

直感で何かをはじめてみる

 趣味がないという方は、“ピンときたもの”に少し足を踏み入れてみることをおススメします。59歳まで無趣味だった私は、直感で応募したカラオケ大会で入賞したことがきっかけで、歌のレッスンをスタート。その後、「会報誌への寄稿」や「作詞の依頼」「ライブへの出演依頼」が舞い込み、「大会で賞金を獲得する」など、活動範囲がどんどん拡がっていきました。趣味が少しずつ、仕事や人の縁、お金まで導いてくれるようになりました。

 商社に勤めるバリバリの営業部長Sさん(58歳)は、好きなお酒を趣味として追求。ワインエキスパートと唎酒師の資格を取得し、今はチーズコーディネーターと和食の勉強をしています。彼に趣味を極めようとした理由を尋ねたところ、「接待で役立つでしょう。酒宴が盛り上がるし……」と言ったあとに、「定年後、資格を活かしセミナーを開催したい。パーティーのプランナーや出張料理人もやりたい……これが本音です」と嬉しそうに教えてくれました。

 Sさんのように、定年退職後の人生設計のために、「趣味をお金に換える発想」を取り入れてみてもよいでしょう。趣味という自己投資が、あなたを裏切ることはありません。


 次回は、「お金持ちの街」を散歩するメリットを解説します。お楽しみに!


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