あなたの1分、いくらですか?

投資よりも大切な「お金の考え方」:第1回

臼井由妃:著述家、講演家、熱海市観光宣伝大使

 「老後資金2000万円問題」の影響で、NISAやイデコの口座の新規開設が倍増し、新たに投資をはじめる方が増えたといわれています。しかし、投資をはじめる前に、まず「お金の考え方」を見直してみてはと、ベストセラー『やりたいことを全部やる!時間術』の著者、臼井由妃さんは話します。本連載では、その「考え方」について、多額の負債を抱えていた会社を年商23億円の優良企業へと立て直された経歴をお持ちの、臼井由妃さんにお話をうかがいます。

「あなたの1分、いくらですか?」

 そう問われて即座に答えが出る方は、稀でしょう。質問の真意がわからず、「どういう意味?」「人の懐具合を聞いて、どうするんだ」と首をかしげる方も、いらっしゃるかもしれませんね。「あなたの1分、いくらですか?」は、あなたのお金に対する意識やリスペクトの度合いを計る重要な質問。投資や預貯金、倹約や節約など、お金にまつわることを考える際に、まずおさえておいて欲しい「キーフレーズ」なのです。

 逆に言えば、「自分の1分のコスト」を知らないで、仕事の成果やお金を得ようとしても、思うようになりません。時間や労力をかけても、それに見合う利益を得ることはできないのです。1分がいくらであるかを知ることは、日々の時間やお金の使い方、人間関係、モノとの付き合い方など、仕事はもとよりプライベートにいたるまで、無駄なく無理なく成果を出す指標になります。

 たとえば、1分のコストが30円の人がいて、何となくネットサーフィンを30分続けていたら、あっというまに時間が経ってしまい、ほとんど何も得られなかったとしましょう。30分をもっと有効に使えたならば、900円の価値以上のものが得られたかもしれません。

 30分、自分が営業会議でプレゼンをする際のシミュレーションをしていたら、ビジネススキルを高めたり、上司に認められたりと、将来900円以上のものを得られるきっかけになったかもしれません。900円という消費コストは同じでも、得られるものに大きな差が出るのです。自分の1分がいくらかを知れば、どう使ったら自分の将来に役立つのかを誰しも考えるようにもなります。

1分のコストを計算してみる

 1分のコストを算出するには、次の2つの手順で行います。

1 月収をひと月の総労働時間で割り、1時間当たりのコストを計算する
 この際、ボーナスや報奨金などは考慮しないで結構です。たとえば月収50万円の人が、月20日間、1日の実労働時間が8時間ならば、50万円÷160時間=3,125円が1時間当たりのコストになります。

2 算出された1時間のコストから「1分コスト」を出す
 先の例では3,125円÷60分=約52.08円。1分は「おおよそ52円」ということになります。

 この数字を目にして、あなたはどう思いますか? 「たった52円じゃないか」という方もいれば、「52円にもなるんだ」と受け取られる方もいるでしょう。私はこれまで、講演会や勉強会、コンサルティングなどの場で7万人を超えるビジネスパーソンとお会いしてきましたが、仕事の成果を出す人=お金に好かれる人は、「52円にもなるんだ」と捉えます。

 そして彼らは、「1分たりとも無駄遣いしない」「有効に時間を活用しよう」と、お金と時間への意識が高いのです。さらに、「ボーッとしているなんてもったいない」「コストに見合った言動を自分はしているだろうか?」と言います。あなたも時間と自分のコストを考えながら、物事を進めていくとよいでしょう。

1分コストを知るメリット

 そうかといって、万事、時間をお金に換算して行動しなさいというのではありません。猛烈に働きなさい、というのでもありません。また、1分コストが高い人は面倒なことはすべて、コストの低い人に投げなさいというのでもありません。

 1分コストを意識することで、「誰にでも平等に与えられている時間を無駄にしていないか?」「与えられたポストや役割に対して、真摯に向き合っているのか?」と考えるきっかけをつくることが、「1分コスト」を知る目的です。そういった習慣を身につけると、お金と時間へのリスペクトが生まれ、「お金に好かれる人」になります。

 お金儲けや投資話に心が揺れるのもわかります。預貯金を増やすために、倹約に励む気持ちもわかります。でもお金の問題を考える大前提は、自分の1分コストを知ること。ここがきちんとしていないと、やみくもに働いてお金を追いかける人になってしまいます。

1分コストへの考え方で、将来に差が生じる

 Sさんは、外車販売の営業職。働き方改革を推進している会社に勤めているはずなのですが、平日夜は接待の酒宴、休日はお得意先と接待ゴルフと大忙しです。本人曰く「仕事漬けの毎日」ですが、それで営業成績がトップクラスかといえば、いたって普通。彼の場合、仕事に時間を費やすことが、お金につながると勘違いして、やみくもに働いているだけなのです。

 一方、同僚のHさんは残業や接待はしない主義。就業時間を目一杯使って営業する姿勢を貫いて、成績はトップクラスをキープし続けています。

 もう皆さん、おわかりですよね。Sさんは、「自分の1分コストを知らない、考えたこともない人」であり、Hさんは無意識かもしれませんが「自分の1分コストを算出して、求められている成果を出すために最善の策を講じている人」と言えるかもしれません。自分の1分コストを理解するのとしないのでは、1年、3年、5年……ビジネスやプライベートで大きな差が生じます。

 「あなたの1分、いくらですか?」。すぐに答えられるあなたでいてください。それが輝く明日をつくる、お金に好かれる基本です。1分コストではピンとこないという方は、時間コスト(先の例では3,125円)をメモ帳やタブレットに記録して、意識付けするのもよいでしょう。この習慣で「時は金なり」の本当の意味がわかります。


 次回は、「これが理想のお金の使い方」。お金を生み出す「ゴールデン・バランス」についてお伝えします。お楽しみに!


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