最終回 土に埋めるお守り

大宮エリーのなんでコレ買ったぁ?! リターンズ

大宮エリー

これ、青山路地裏にあった、ネパール雑貨屋さんで買ったもの。小さい袋があって、最初は、匂い袋かなと嗅ぐも、臭わない。説明を見ると、お願い事を叶えてくれる人形が入っている。と書いてあるので、袋をあけてよく見ると、中に小さなお人形が。「願い1つにつき、1人土に埋める」とある。こわ!なんだよ、その、叶えかた! どうして埋めるのよ! でも、どうしてかは書いておらず、「7体あるので、7個願い事ができる」とあった。

それで、面白いなあと思って買った。7袋くらい買ったと思う。そして友達に、「これね、ネパールの昔のお守りなんだけどね、、」と言って声を潜めて、「願い事を人形に託して、土に埋めると叶うんだって、こわいでしょー」とプレセントした。みんな、えーーっ!?と気味悪がりながらも、半分は面白がって喜んでくれた。自分の中で自慢のプレゼントであった。小さいし。珍しいし。割と可愛いし、ゆるい。

で、年月は経ち、といっても、7、8年かな。いつものように、宝物をいれてある段ボール箱をまさぐっていたら、これを発見。1袋だけあった。で、「まだあったんだあ!うれしい!」と狂喜し、懐かしがって袋をあけた。

「5体かぁ、あれ、7体じゃなかったかなぁ」「あれ?これはなんだ?」小さな筒状に丸めた紙も入っている。開くと説明書きだった。英語で書いてある。読んで驚いた。目を疑った。Guatemalanとあって、あれ?ネパールじゃないの?グアテマラか、というのまではまだいい。内容が思っていたのとまるで違うのだ。子供達は1体につき1つの心配事をこのお人形に告げて、これらを枕の下にいれる。すると翌朝、彼らの悩み事は全て人形が消し去ってくれるのです。とある。「え?!」私は目を疑った。

なんで?当時の私はバカだったの? 英語読めなかったの? 東大卒なのに、ここまで英語力が落ちているのだろうか。ていうか、土に埋めてないじゃん!枕の下じゃん! しかも願い事を叶えてくれるわけじゃないじゃん!心配事を取り除いてくれるだけじゃん! ど、どうしてこういうことになったんだろう。何一つあっていない。もしかして、買うとき、お店の人が間違って教えてくれたのかな。うーむ、謎である。

しかし、この人形たちにすごく申し訳ないことをした。だって、私があげた人、間違った説明してるから、みんな土に埋められてる。ご、、ごめん!!!

 

*『大宮エリーのなんでコレ買ったぁ?! リターンズ』は、今回で終わりです。

 

【このコラムが本になりました!】

「日経MJ」での連載開始から2年と4か月。1月29日、「大宮エリーのなんでコレ買ったぁ?!」がついに単行本になりました。連載、そして単行本化の裏話もがっつり加筆。脱力系ゆるゆるエッセイを堪能してください!

 

撮影:諸井純二

大宮エリー おおみや えりー/Ellie Omiya
作家、演出家、画家、ラジオパーソナリティー、脚本家、CMディレクターなどボーダレスに活動。

主な著書は、『生きるコント』(文春文庫)、『なんとか生きてますッ 』(新潮文庫)、『なんでこうなるのッ?! 』(毎日新聞出版)。コンプレックスが解消する短編集『猫のマルモ』(小学館)、『思いを伝えるということ』(文春文庫)、心の洗濯ができる写真集『見えないものが教えてくれたこと』(毎日新聞出版)など。
現在、「朝日中高生新聞」「シティリビング」にて連載を担当。
2012年よりPARCOミュージアムにて「思いを伝えるということ展」という体験型のインスタレーションを発表、アート活動をスタートさせる。
近年では画家としても活動。昨年は十和田市現代美術館にて美術館での初の個展「シンシアリー・ユアーズ」を開催。
2017年は福井県 金津創作の森にて個展を開催。愛媛県の芸術祭、道後オンセナート2018、六甲ミーツアート2018に参加。

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