第23回 タイの象の列車

大宮エリーのなんでコレ買ったぁ!? リターンズ

大宮エリー

これ、どこで買ったのか思い出せない。全く。おそらくタイだと思う。パッケージがタイ語だし。けれど、タイに行ったのは相当昔になる。あ、でもタイだ。PUFFYのPV撮影の監督としてタイに行ったんだった。そこで空港で、PUFFYの二人がサングラスとかカバンとかを見ていたとき、私はそういうブランド物にそのとき疲れていたのもあって興味がなく、ふらふらとキヨスクのような店に入った。そこでみんなは、チップスとか新聞とか雑誌とか水とかを買うのだ。ところが私は、、「な、なんだ!?これ!」とおもちゃ発見。思わず手にとった。

電車がレール上を走るのは日本にもあるが、象がレールを走るスタイルである。なぜ?確か、タイで、人を背中に乗せて運ぶ商売が多く見られた。川の中を象に乗っていくとか。そういえば象はインドでは神様になってるのに、タイでは人の乗り物になっていて鞭で叩かれていた。タイでは馬みたいな存在なんだろうか。

この象の連なりは、子象もまじっているのがすごい。そして色合い。これが絶妙である。絶妙なパステルカラー。たしかにタイではビビッドなカラーもあったけれど、パステルカラーも多かったように思う。これ、開けてみたい。開けて、いったいどんなふうに象が動くのか。レールの上を滑らかに動くのか、ガタガタしちゃうのか確かめたい!

でも、パッケージがいいと思うのだ。これをまた開けてしまうと値打ちが下がってしまうと思う。そう言うと決まって友人は呆れて、「あのさ、そもそも値打ちとかないから!」 正しい。だってキヨスクで買ってるんだから。

えらいなと思うのは、こういうのを作ろう!って思う子供心だと思う。素朴な気持ち。純粋な象への気持ち。そういう大人がきっとこれ作ったんだと思う。ここまで書いて思った。でももしかして、日本でもおもちゃ屋とかにいくとこういうものがたくさんあるんだろうか。いや、きっとトイザらスとかおもちゃ専門店はもっと手の込んだ作り込まれたものがたくさんあるんだと思う。そうじゃないのだ。昔のヨーヨーとかけん玉的なシンプルさがいいのだ。

パッケージのままにしておかないともったいないからパッケージは開けない。でも、ふと思ったのだが、もしかしたら私は、開けて、この象を走らせた時、なあんだ、こんなもんか、と思ってしまうかも、という怖さから開封できないのではないか。そうか、あれだ。傷つきたくない症候群だ。夢のままでいたいやつだ。告白して振られるのが嫌だから想い続けてるやつだ。

ということで、このコラムが本になったら、イベントで一気に開封して、象を走らせて遊び、がっかりする、というのをやりたい。この場合、告白と違って、「告ってみないと結果わかんないじゃん!」というやつでもない。うすうすわかってる。絶対、ちーん、となるやつ。でも、そのしょうもな!ってのが、案外、ぐっとくるかもしれないじゃないか!

 

 

撮影:諸井純二

大宮エリー おおみや えりー/Ellie Omiya
作家、演出家、画家、ラジオパーソナリティー、脚本家、CMディレクターなどボーダレスに活動。

主な著書は、『生きるコント』(文春文庫)、『なんとか生きてますッ 』(毎日新聞出版)、コンプレックスが解消する短編集『猫のマルモ』(小学館)、『思いを伝えるということ』(文春文庫)、心の洗濯ができる写真集『見えないものが教えてくれたこと』(毎日新聞出版)など。そして最新刊『なんでこうなるのッ?!』(毎日新聞出版)が好評発売中。
現在、「朝日中高生新聞」「シティリビング」にて連載を担当。
2012年よりPARCOミュージアムにて「思いを伝えるということ展」という体験型のインスタレーションを発表、アート活動をスタートさせる。
近年では画家としても活動。昨年は十和田市現代美術館にて美術館での初の個展「シンシアリー・ユアーズ」を開催。
2017年は福井県 金津創作の森にて個展を開催。愛媛県の芸術祭、道後オンセナート2018、六甲ミーツアート2018に参加。

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