第22回 ゆるい絵葉書

大宮エリーのなんでコレ買ったぁ!? リターンズ

大宮エリー

ゆるすぎてどういうときに使うのかわからない。ゆるすぎてどうして買ったかもわからない。これは、もはや、買っていないと思いたい。もらったのではないかなとかも思ったりする。よく旅館においてあったり、お土産についてきたりするから。でも、たぶん、買ったんだと思う。

洗練された旅館の土産物売り場で、唯一、「え? どうして?」と目を疑うようなゆるい絵葉書がおいてあったりする。旅先で、あの手この手で買わせようといろんなキャッチコピーでアピールしてくる土産物の中に、「え? どうして?」というくらいゆるい、誰が書いたんだろう、この店の親戚?お寺のひと?と思ってしまうようなゆるい仕上がり。買って欲しいという気持ちもなく、ただ、描きたかった、、というようなやつ。それも、力作というより、「さらさら書いちゃった。え? 絵葉書になっちゃったの?」と本人も知らなくてびっくり! というようなものは、つい買ってしまう。

だからといってこれに書いて誰かに送る勇気がない。この絵葉書が届いたひとを、私がこの絵葉書と出会ったときのような困惑した気持ちにさせてしまうのではないかと。「え? どうして?」「どうしてこの絵葉書で手紙書いてきたの?」と。

お仕事のお礼状とかには絶対使えないし。だいたい手紙というものは、久しぶりの方や改まって何か伝えたいときに使うものである。そのシーンにこのゆるさは、ないのではないか。

でもなんか、いつか、いまだ!! このゆるい絵葉書の出番だ! と思うようなときがくるのではないかと思っている。たとえば、うーん、お見舞いとか? 悩んでいるひととかにはツボるのではないかと思っている。ゆるハガの脱力感で、なんだか、こうこちらまで肩の力が抜けるのではないかと。ま、試してはいないのだが。

 

NHKカルチャー講座 開催
帰ってきた!大宮エリーの「思いを伝えるということ vol.6」
日 時:2018年12月3日(月)19:00〜20:30
会 場:NHK文化センター青山教室(東京都港区南青山1-1-1 新青山ビル西館4F)
受講料:会員 3,596円/一般 4,276円

詳細・お申し込みはこちら

 

 

撮影:諸井純二

大宮エリー おおみや えりー/Ellie Omiya
作家、演出家、画家、ラジオパーソナリティー、脚本家、CMディレクターなどボーダレスに活動。

主な著書は、『生きるコント』(文春文庫)、『なんとか生きてますッ 』(毎日新聞出版)、コンプレックスが解消する短編集『猫のマルモ』(小学館)、『思いを伝えるということ』(文春文庫)、心の洗濯ができる写真集『見えないものが教えてくれたこと』(毎日新聞出版)など。そして最新刊『なんでこうなるのッ?!』(毎日新聞出版)が好評発売中。
現在、「朝日中高生新聞」「シティリビング」にて連載を担当。
2012年よりPARCOミュージアムにて「思いを伝えるということ展」という体験型のインスタレーションを発表、アート活動をスタートさせる。
近年では画家としても活動。昨年は十和田市現代美術館にて美術館での初の個展「シンシアリー・ユアーズ」を開催。
2017年は福井県 金津創作の森にて個展を開催。愛媛県の芸術祭、道後オンセナート2018、六甲ミーツアート2018に参加。

 

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