戦略思考力はクイズで鍛える!

編集者が明かす、ベストセラーの裏側——「戦略思考トレーニング」シリーズ

編集部 平井修一

 戦略論の教科書は数多くありますが、戦略を立てるための思考力を鍛えるにはどうすればよいでしょうか。
 そんな悩みにお応えする、日経ビジネス人文庫『戦略思考トレーニング 最強経済クイズ[精選版]』が、10月3日、発売になりました。本書は、累計22万部突破の「戦略思考トレーニング」シリーズから問題を精選、新しく追加して文庫化した決定版です。元BCGコンサルタントである著者の意外な側面、ベストセラー誕生の秘話、文庫版の使い方などを担当編集者がご紹介します。


 「ペットの犬の数は増えているのに、ドッグフードの売上げが落ちているのはなぜ?」(1)
 「ハインツは容器から出にくいトマトケチャップにどんな宣伝文句をつけた?」(2)
 「ゲリラ豪雨警報を出すのに活用できる、街のどこにでもある“あるもの"とは?」(3)
 (答えは、本記事の最後にあります)

 すぐれた戦略を立てるには、論理思考力と豊富な知識が不可欠。「戦略思考トレーニング」は上記のようなクイズをいくつも解きながら、その両方を身につけられる入門書です。累計22万部を突破する人気シリーズとなりました。

著者は身近にいた!

 あっという間に、もう6年も前のことになりますが、本シリーズの1冊目は、クイズ形式でマネジメントや競争戦略について学べる新機軸の本を作れないか、という発想からスタートしました。そこでまず、クイズ本の研究をしていました。ただ、マネジメントに深い見識をもち、かつクイズも面白く作れる著者をどうやって見つけるか?

 マネジメントにだけ詳しい人だと内容が難しくなり、クイズだけが得意な人だと深みがなくなる。マネジメントに詳しい人とクイズ作家でチームを作るか?——そんなことを考えているうちに、偶然も手伝って最適な著者にたどり着くことができました。その数年前にお仕事をご一緒させていただいた鈴木貴博さんです。

 鈴木さんは世界屈指のコンサルティング・ファームであるBCG(ボストンコンサルティンググループ)出身の戦略コンサルタント。博識、「街ネタ」好きで、ビジネス書作家としても評価の高い著作が何冊もありました。ある経営書の執筆に協力していただいて以来、フェイスブックでつながり、ビジネス関係以外の多方面のご活躍についても知るようになったのですが、実は鈴木さんはクイズ番組「パネルクイズアタック25」で優勝経験もあるクイズマニアだったのです。

 さっそく鈴木さんに相談したところ執筆をご快諾いただきました。「高校生クイズ」などでクイズ作家としての経験もあるとのこと。鈴木さんとしては、ビジネス書の執筆に自分の特技であるクイズを生かせるとは思っていなかったとのことでした。

サクッと読めるし、じっくりも読める

 最強の著者・鈴木さんとタッグを組めたことでコンセプトが固まり、アイデアもどんどん広がります。

 「見開きの左ページにクイズ、めくった右ページにその答えの基本スタイル」「イラストは答えのページではなく、クイズのページに」「ページを文字で埋めない。あえて余白をつくりサクサク読めるように」「ヒントは目に入りにくい小さな字で入れる」。キャッチフレーズは、「まさか?なるほど!のクイズが満載」「さっと30分で読むこともでき、じっくり2カ月かけて読むこともできる」です。

 「まさか?なるほど!」という言葉は、実は、経営学の大家である吉原英樹・神戸大学名誉教授による『「バカな」と「なるほど」』(1988年に同文舘出版より刊行、2014年にPHP研究所より復刊)からの翻案です。

 最初の新書判の本の装幀は松田行正さんに極太文字にハテナマーク入りの素敵なデザインに仕上げていただき、各クイズには、ユニークなイラストをユタカナさんに描いてもらいました。文庫版では、装幀は鈴木成一デザイン室にお願いしています。

ヒットには必ず戦略がある

 本書を読めば、自動車やテレビから、スマホ、歯ブラシやスパイスの瓶まであらゆるものに「戦略思考」の知恵が詰まっていることがわかります。ヒット商品を分析する目を磨くことができるのはもちろん、自分の会社の商品や、サービス、経営戦略に活かすヒントが満載です。

「営業トークに活用できる」
「コンサル業界など就職試験準備に使う」
「同僚、友人に知識を自慢したい」
「大学の講義で小ネタに使いたい」
「1日1題、じっくり考えながら再読する」
「仲間でカフェに集まり読書会を開いてみた」

などなど、読者からはいろいろな活用法が寄せられています。

文庫版は、就活生にも手にとってほしい

 今回の日経ビジネス人文庫版では、これまでのシリーズに載せた200問以上のクイズを90問に絞り込み、新クイズを10問追加して、計100問を収録しました。サクサク読むことも、じっくり読むこともできます。「まさか?」「なるほど!」「ほんとかよ!」の知的エンターテインメントをぜひ体験してみてください。

 最後にひと言、鈴木さんと、ネプリーグ(フジテレビ)では「東大チーム」の味方となり、ニコニコ生放送クイズLIVEチャンネルのクイズ番組ではライバルとして戦ったクイズの東大王・伊沢拓司さんには、ゲラを読んでいただき、「妙案を『理解する』から『ひらめける』にする練習です」という推薦の言葉をいただきました。これを機会に、より多くの学生、殊に就活生に手にとってもらえると嬉しいです。

 冒頭のクイズの答え(1)大型犬が減り、小型犬が増えたから(2)「ハインツのケチャップは中身が濃いのでなかなか瓶から出てきません」(3)自動車のワイパー。位置情報と稼働状況のデータを集めればどこで雨が降っているかがリアルにわかる

 

著者プロフィール
鈴木
貴博(すずき たかひろ)
百年コンサルティング株式会社代表取締役。東京大学工学部物理工学科卒業。ボストンコンサルティンググループ、ネットイヤーグループを経て独立。持ち前の分析力と洞察力を武器に企業間の複雑な競争原理を解明する競争戦略の専門家として活躍。クイズマニアとしても「パネルクイズアタック25」「ネプリーグ」「地下クイズ王決定戦」「モノシリスト」などクイズ番組出演歴多数。

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