第17回 グーパンチのガム

大宮エリーのなんでコレ買ったぁ!? リターンズ

大宮エリー

鳥取の友人を訪ねたときのこと。友人の車でドライブの間に立ち寄ったコンビニ。みんな飲み物を買うタイム。私もアイスコーヒーを買って、出ようとしたそのとき、出口に見つけたのである。「なにこれ!」ものすごいお宝である。グーのパンチが山積みに。「これはなに?」

ガムのお菓子なのだが、入れ物がおもちゃになっていて、ボタンを押すと、パンチが飛ぶと書いてある。わお!すごい! どうしてそんなこと考えたの?! ガムと全く関係ないじゃん! というところもぶっ飛んでいるし、それに、どういうシーンでこれを使えばいいの?っていうのがイマイチ浮かばないところにも惹かれる。

見かけは、よく先生とかが使う、棒の先っぽが、人差し指を出した手になっているのに似ているのだけれど、これは、グーであり、そして、パンチがでる。パンチしあうのに使うのか。もし、これがガムではなく、ボールペンであったら、何か書類にサインすると見せかけて、これでいきなりパンチすることもできる。なんてことを3秒で考えて、鼻息荒く、2本を買った。

そして車に戻ると、「遅いよ!何買ってたの?!」と言われた。それで、目をキラキラさせて「すごいよ、こんなん売ってた!」と袋から出して見せたところ、友人には、「はあ?」と言われ、そこまでは想定内だったけれど、意外だったのは、友人の子供が、全く興味を示さなかったことである。一応、対象年齢だと思うのだけれど、彼女は見向きもしないで、ひたすらスマホに向かって踊って、Tick Tockというアプリで撮影していた。私は車内で、誰からも「いいね!」と言われなかった私の宝物を見つめたのである。

たぶん、こう、アクションが出るものが好きだ。でも実際、これ、誰かにパンチをしたら、「は?」ってなるんだと思う。私は、これで和めばいいと思っているけれど、そうはならないんだろう。でも困るのはこの手のものをこのあとどうするか。大切に持っているだけだともったいない。どこかで使いたいのだけれど。

で、常にあのグーパンチのガムの棒が、カバンに入っている人ってどうだろう。それも私ではなく美人の女性がさりげなく入れていたら、、、。私が男の人だったらそんな女の人に惹かれちゃうなあ。美人に限るけれど。ていうことは私は、、早く食べて捨てよう。

 

撮影:諸井純二

大宮エリー おおみや えりー/Ellie Omiya
作家、演出家、画家、ラジオパーソナリティー、脚本家、CMディレクターなどボーダレスに活動。

主な著書は、『生きるコント』(文春文庫)、『なんとか生きてますッ 』(毎日新聞出版)、コンプレックスが解消する短編集『猫のマルモ』(小学館)、『思いを伝えるということ』(文春文庫)、心の洗濯ができる写真集『見えないものが教えてくれたこと』(毎日新聞出版)など。そして最新刊『なんでこうなるのッ?!』(毎日新聞出版)が好評発売中。
現在、「サンデー毎日」「朝日中高生新聞」「シティリビング」にて連載を担当。
2012年よりPARCOミュージアムにて「思いを伝えるということ展」という体験型のインスタレーションを発表、アート活動をスタートさせる。
近年では画家としても活動。昨年は十和田市現代美術館にて美術館での初の個展「シンシアリー・ユアーズ」を開催。
2017年は福井県 金津創作の森にて個展を開催。愛媛県の芸術祭、道後オンセナート2018、六甲ミーツアート2018に参加。

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