第16回 ラグ問題

大宮エリーのなんでコレ買ったぁ!? リターンズ

大宮エリー

これ、必要だったわけじゃなく、香港に行った時、知り合いに紹介された風水の先生に

「赤い絨毯(ラグ)をこの部屋に置きなさい! そうじゃないと、結婚できない!」

と言われて、帰国後、慌ててネットで購入したのである。

その先生に、「この窓に、この文字を貼れ」「ここに貝殻」「ここに狛犬2ひき」と次々に言われ、全部ネットで購入した。ここ狛犬、とか、先生が間取りに記入した指示の紙を丁寧に持っていたのだが、「ここ、竹」というのもあり、それがなかなか手に入らなかった。それで、竹を待っていたり、あと、「家にある植物をすべて捨てろ」と言われ、それがなかなかできなくて、仕事も忙しかったこともあり、うだうだしていたのである。

そうするうちに、ものだけはアマゾンからどんどん届き、家には、狛犬、喜という文字のシール、貝殻、竹、と、続々積み上がるのだが、揃った頃には、「やっぱ、風水いいや!」となっていたのである。

いちばんのネックは、「喜」という文字を窓に貼ること。それから、赤いラグをネットで注文したら、届いたらなんと、3本もあったこと。あまりに焦って、私ったらたくさんクリックしてしまったのだろうか。しかも、もっと小さいと思っていたのに、かなりの大きさと重さで、すっかり萎えてしまった。

一部屋に赤いラグを敷いてみることにしたが、その頃にはどの部屋に敷く指示だったのかも忘れてしまった。ちょうど、お気に入りのクリーム色の毛足の長かったラグが、すっかりくたびれていた時期だったので、それを破棄して、赤いラグにかえてみた。すごくいいというわけではないが、やはり赤色の持つパワーは強力。部屋がすっかり元気な空気に。こ、これが、結婚できる風水? その部屋のテーブルに確か、竹を置けと言っていた気がしたので置いてみた。お、こ、これが、結婚できる気の流れ? 赤いラグに竹。

でも、なんか、ベランダに狛犬をと言われていた気がしたけれど、もはやどこに置けばいいかもわからないし、そしてやっぱ、狛犬がいるベランダは嫌だなと思った。部屋に置いてあるガジュマルも捨てたくないし。

なんでこれ買った? 風水にハマったから。であるけれど、こういう感じで、なんで壺買った? とかなんで大理石の仏像買った? とかにならないように注意しないといけないなと思ったのであった。

 

撮影:諸井純二

大宮エリー おおみや えりー/Ellie Omiya
作家、演出家、画家、ラジオパーソナリティー、脚本家、CMディレクターなどボーダレスに活動。

主な著書は、『生きるコント』(文春文庫)、『なんとか生きてますッ 』(毎日新聞出版)、コンプレックスが解消する短編集『猫のマルモ』(小学館)、『思いを伝えるということ』(文春文庫)、心の洗濯ができる写真集『見えないものが教えてくれたこと』(毎日新聞出版)など。そして最新刊『なんでこうなるのッ?!』(毎日新聞出版)が好評発売中。
現在、「サンデー毎日」「朝日中高生新聞」「シティリビング」にて連載を担当。
2012年よりPARCOミュージアムにて「思いを伝えるということ展」という体験型のインスタレーションを発表、アート活動をスタートさせる。
近年では画家としても活動。昨年は十和田市現代美術館にて美術館での初の個展「シンシアリー・ユアーズ」を開催。
2017年は福井県 金津創作の森にて個展を開催。愛媛県の芸術祭、道後オンセナート2018、六甲ミーツアート2018に参加。

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