第14回 キャラばん

大宮エリーのなんでコレ買ったぁ!? リターンズ

大宮エリー

キャラ弁ならぬ、キャラ絆創膏である。ある時まで、あれの存在意義がわからなかった。

そもそも絆創膏なんて、と。小さい頃のものよと。転びもしないし。でも、ある日大活躍した。疲れてぼーっとしていたのだと思う。いつものように料理をしていると、あたた、と指を切ってしまった。軽く当たったくらいだったのに、そんなときに限って、包丁を研いだばかりで切れ味抜群、だから指、ざっくり。血が溢れ出す。指をおさえて止血するも、なかなか止まらない。止まったかな? まだおさえていたいなというときに絆創膏が活躍するのだ。

キュッと巻いて止血。そのときに、肌色のや透明のもいいのだけれど、あれって、つけていると埃がたまって汚く見える、と自分では気になってしまうのだ。けれどもどうだろうか。キャラクターものの絆創膏にしたとたん、埃が目立たなくなった。単にゴミに目がいくよりも先に、キャラに目がいってしまうだけだと思うが。

それと一番自分が楽しいのはキャラが指先にくること。よくネイルをしている女子は、「指先がきれいだと上がる」という。それに近い。ネイルを、ああ、きれいだなあ、きらきらしているなあ、と自分で愛でるように、絆創膏も、「ああ、アンパンマンかわいいなあ、わ、食パンマンもいるよぉ」と空いた時間にテンションが上がる。人に見せるというより自分の気持ちがうきうきする効果がある。だから、ミッキーにしたり、アンパンマン、キキララ、キティちゃん、ドラえもん、を揃えている。

中でも好きなのがアンパンマン。表情が豊かで、そして、困った人に自らの顔であるパンをあげてしまうヒーロー。でも、やっぱり目立つらしい。打ち合わせでも、クライアントさんが私の資料をめくる指先を見ている。「怪我したんですか?」と聞かれるが、怪我よりも、アンパンマンのことを聞きたい! なぜそんな絆創膏を、という顔をしている。

それから、パソコンで原稿を打っている時は、少し邪魔だったりする。アンパンマンの顔をキーボードに高速で打ち付けないといけないし、なんか視界にチラチラと、いろんなキャラが入ってくるので気が散る。でも、ふぅと、息をついて、指先を止めると、アンパンマンが笑っているのである。だから、自分用に持ち歩いているが、誰か怪我した時、靴擦れのときにあげられるように、キャラばんを持ち歩いているのであった。

なんかおめかししてヒールはいてるけど、靴ずれにアンパンマンの絆創膏とか、いいでしょ? 可愛い人って思わないですか? ま、紙一重ではある。

 

撮影:諸井純二

大宮エリー おおみや えりー/Ellie Omiya
作家、演出家、画家、ラジオパーソナリティー、脚本家、CMディレクターなどボーダレスに活動。

主な著書は、『生きるコント』(文春文庫)、『なんとか生きてますッ 』(毎日新聞出版)、コンプレックスが解消する短編集『猫のマルモ』(小学館)、『思いを伝えるということ』(文春文庫)、心の洗濯ができる写真集『見えないものが教えてくれたこと』(毎日新聞出版)など。そして最新刊『なんでこうなるのッ?!』(毎日新聞出版)が好評発売中。
現在、「サンデー毎日」「朝日中高生新聞」「シティリビング」にて連載を担当。
2012年よりPARCOミュージアムにて「思いを伝えるということ展」という体験型のインスタレーションを発表、アート活動をスタートさせる。
近年では画家としても活動。昨年は十和田市現代美術館にて美術館での初の個展「シンシアリー・ユアーズ」を開催。
2017年は福井県 金津創作の森にて個展を開催。愛媛県の芸術祭、道後オンセナート2018、六甲ミーツアート2018に参加。

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