あなたの会社ではセクハラ防止対策を見直していますか?

第1回 世間が許さない時代になっても、被害が減らない理由とは。

山田・尾崎法律事務所 弁護士 山田秀雄、弁護士 菅谷貴子 (構成 和栗牧子)

DVD『セクシュアル・ハラスメント対策シリーズ』全3巻より

 著名な企業、組織におけるセクハラ問題が話題となっています。こうした状況を受けて、弊社DVD『セクシュアル・ハラスメント対策シリーズ』全3巻などの監修者である山田秀雄弁護士、菅谷貴子弁護士に、2回に分けてセクハラ被害の現状や最近のセクハラの傾向などをうかがいました。なお、菅谷貴子弁護士は先頃、財務省で幹部を対象としたセクハラ研修の講師をされました。

セクハラ被害が増えている? 声を上げはじめる女性たち

山田秀雄弁護士

山田秀雄弁護士
「かつての日本では、会社の中でセクハラ被害がなかったのか?といえば、そうではありません。昔から、セクハラ被害はありました。ただ1980年代後半まで、日本には“セクハラ”という言葉も概念もありませんでした。したがって、女性は泣き寝入りをし、我慢せざるを得ない、というのが一般的な世の中の傾向でした。

 しかし89年、“セクシュアル・ハラスメント”という言葉が流行語になったことやセクハラ事件の判決がでたことで、セクハラは広く世間に知られるようになり、セクハラとはどのようなことをさすものなのかも徐々に一般に認知されるようになりました。それに加え、その後、男女雇用機会均等法の改正によって、企業に対する措置義務が規定され、その結果、職場でもセクハラに対する研修が行われるようになりました。現在では、セクハラ被害から身を守るためのインフラが整いつつあり、被害にあった女性をサポートする弁護士も増えてきています。

なぜ、セクハラ対策は進んでいるにもかかわらず、セクハラ被害の相談が近年増えているのか。

山田秀雄弁護士
「近年のセクハラ被害の増加は、これまで声を上げられなかった被害女性達の中から、『ちゃんと声を上げて被害を訴えます』という人が以前よりも増えてきたことが大きいと思います。そういう意味で、水面下に押さえ込まれていたセクハラ問題が、今まさに表面にどんどん浮上してきているのだと思います。

 また、従来からあった強制わいせつ型や擬似恋愛型のセクハラのほか、まだ数は多いとはいえませんが、違うかたちのセクハラなどについても声が上がるようになっています。例えば、女性の働き方の変化に伴い女性上司や女性が多い職場が以前より増えたことによる女性から男性に対するセクハラや、いわゆるLGBT(女性同性愛者、男性同性愛者、両性愛者、トランスジェンダー)に関わるものを含めた同性間のセクハラなどです」

菅谷貴子弁護士

菅谷貴子弁護士
「全体的な流れとして、企業の不祥事が内部告発によって表面化されるケースが多くなっています。その流れは、セクハラもパワハラも同じ構造です。例えば、本人が立ち止まって言えないでいるときに、周囲の人が告発するケースはとても増えています」

 

 

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