第7回 トトロのキーホルダー

大宮エリーのなんでコレ買ったぁ!? リターンズ

大宮エリー

なんでこれ買ったッ?って話であるが、そもそもジブリグッズは、なんでっていうか、もう理由じゃない。欲しい。すごく欲しい。ジブリすげえ嫌いって言う人はいないと思うのだ。その中でもトトロすげえ嫌い、トトロ虫酸がわく、って言う人は一人もいないと思うのだ。

私はトトロが大好きだ。吉祥寺にあるジブリ美術館に行って、こういうキャラクターものは買ってはいけない、見るだけだと思いつつ、ディズニーと違う気持ちになる。それは、フィクションじゃない感じ。いるんじゃないか、本当に、っていう気持ちがあるのだ。田舎にいったりすると、実際に、どっかにトトロやネコバスがいるんじゃないかと思う。あのリアリティーはなんなんだろう。

だから、ディズニーの夢の国で、夢を買う、とかではなくて、まさにとなりのトトロ、となりのジブリなのである。すぐそこ、すぐどこかにいるんだけれど、なかなか会えない。でも、映画やジブリ美術館で会える。だから、お土産ショップで、じーーっとトトロを見てしまう。じーっとネコバスを見てしまう。

「会いたいなあ」

ってどこか心の中でつぶやいている。気がする。そんなことないですか?

だから買っちゃうんだと思う。トトロ、お持ち帰り。トトロに会えないけど、トトロがいつもポッケにいたら、と思って、買ってしまうキーホルダー。やっぱり、ノートなどの文具品は42歳にもなると、抵抗がある。仕事相手がトトロのノートに書き込んでいる私を見たら、どう思うだろう。「好きなんだ、トトロ」「ジブリいいよね」と思うだろうか。いや、思わない。「なぜ?」「よりによってなぜそれを使う?」と不安になってしまうだろう。ジブリが好きでもやっぱね、42歳がビジネスでは使えないのだ。

とすると、部屋でぬいぐるみ、になるのだろうが、やはりそれも、抵抗がある。じゃあ恋人が遊びに来たとする、部屋には、大きなトトロ、大きなネコバス。「いいね!俺も好きだよ!」となるだろうか。というわけで、安全なのがキーホルダーなのだ。

だから、無駄に、合鍵を作ってしまう。恋人もいないのに。なぜって? そりゃあ、トトロのキーホルダーつけたいからさ!

 

撮影:諸井純二

大宮エリー おおみや えりー/Ellie Omiya
作家、演出家、画家、ラジオパーソナリティー、脚本家、CMディレクターなどボーダレスに活動。

主な著書は、『生きるコント』(文春文庫)、『なんとか生きてますッ 』(毎日新聞出版)、コンプレックスが解消する短編集『猫のマルモ』(小学館)、『思いを伝えるということ』(文春文庫)、心の洗濯ができる写真集『見えないものが教えてくれたこと』(毎日新聞出版)など。そして最新刊『なんでこうなるのッ?!』(毎日新聞出版)が好評発売中。
現在、「サンデー毎日」「朝日中高生新聞」「シティリビング」にて連載を担当。
2012年よりPARCOミュージアムにて「思いを伝えるということ展」という体験型のインスタレーションを発表、アート活動をスタートさせる。
近年では画家としても活動。昨年は十和田市現代美術館にて美術館での初の個展「シンシアリー・ユアーズ」を開催。
2017年は福井県 金津創作の森にて個展を開催。愛媛県の芸術祭、道後オンセナート2018、六甲ミーツアート2018に参加。

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