第5回 爆音めざましたち

大宮エリーのなんでコレ買ったぁ!? リターンズ

大宮エリー

うちにはものすごい威力の目覚まし時計がある。音がすさまじい。もう実は、10年も前にスタッフの人にプレゼントでいただいたのだ。これがすごく気に入っていて、目覚ましのかけかたも簡単だし、文字盤も大きいし、なによりすごいのは、なんども起こしてくれる。スヌーズというのがあって、目覚ましが鳴ると、バシッとまず手で叩くと音がとまる。でも、10分くらいしたらまた鳴るのだ。

この手でパシッとやるのは細長い目覚ましの頭の部分に棒状のボタンがあり、それが「ちょ、ちょ待ってよ」という、いわば「タイム」である。「もすこしだけ寝かせて」あるいは「うるさいな、もう!」という気持ちの表れのパシッ。だけれど、この、も少し寝かせてが命取りだったり、うるさいな、もう!は記憶になかったりする。そのためのスヌーズである。

そのときは「わかりました御主人様」と黙るのだが、10分後にまた鳴るのだ。で、ご主人様である私が、「す、すんまそん、起きますね」と体を起こして、裏にあるボタンをポチりとやるまで、10分間隔でなり続けるシステム。それがスヌーズ。助かるのである。これに何度、命拾いしたことか。

まあ、あと10分、を10回続けて、結局、なんだ、そんなんだったら、2時間後に目覚ましかけて、ぐっすり寝たほうがよかったじゃん!ということもある。でも、まどろみタイムができるのがありがたい。そして起こすときは全力で、けたたましい音がなるから、心臓が飛び出そうになる。

で、ふとある時思った。この毎朝の私を支えてくれている目覚まし。スタッフの人がプレゼントしてくれたときこう言ってた。「私のすごくお気に入りで、こんなに威力のある目覚ましはないです。私は寝坊をすごくするので目覚ましを5つ持ってて5つかけてたんです。そう、起きれないんです。どんなに鳴っても。だから5台も。それが1台で済んだのが、これです」

で、それを思い出して思った。じゃあ、もしこれが止まったらどうなるわけ?電池切れとか、故障とか。そしたらどうなるの?と。そう思うとすごく怖くなってきて、ある時たくさん買ってしまった。同じものがなかったから、怖くなってたくさん買ってしまった!けど、、どれも使ってません!

 

撮影:諸井純二

大宮エリー おおみや えりー/Ellie Omiya
作家、演出家、画家、ラジオパーソナリティー、脚本家、CMディレクターなどボーダレスに活動。
主な著書は、『生きるコント』(文春文庫)、『なんとか生きてますッ 』(毎日新聞出版)、コンプレックスが解消する短編集『猫のマルモ』(小学館)、『思いを伝えるということ』(文春文庫)、心の洗濯ができる写真集『見えないものが教えてくれたこと』(毎日新聞出版)など。そして最新刊『なんでこうなるのッ?!』(毎日新聞出版)が好評発売中。
現在、「サンデー毎日」「朝日中高生新聞」「シティリビング」にて連載を担当。
2012年よりPARCOミュージアムにて「思いを伝えるということ展」という体験型のインスタレーションを発表、アート活動をスタートさせる。
近年では画家としても活動。昨年は十和田市現代美術館にて美術館での初の個展「シンシアリー・ユアーズ」を開催。
2017年は福井県 金津創作の森にて個展を開催。愛媛県の芸術祭、道後オンセナート2018、六甲ミーツアート2018に参加。

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