目利き書店員が絶賛!組織変革の新たな手法

「ぶっちゃけて語れる」ことのスゴい効果

重光 直之(株式会社ジェイフィール 代表取締役)

モヤモヤや苛立ち、孤独感に満ちた職場が、日々の小さな積み重ねで変わるとしたら?

週1回、同僚と職場での出来事を振り返り(内省)、語り合う(対話)。「マネハプ(マネジメントハプニングス)」と呼ばれるこの手法は、自分たちの力で組織を変えるものとして世界20カ国で高い評価を得ています。

マネハプを日本で推進する重光直之氏が、ビジネス書の目利き書店員として名高い八重洲ブックセンター・柏明美氏を聞き手に語ります。

アドバイスも質問も不要な世界

:「仲間と話をしながら職場を改善していく」。重光さんのご本を読んで、この考えにとても共感できました。

重光:ありがとうございます。

:実際に「週イチ・30分」の対話(マネハプ)を始めたい方も多いと思います。やってみたがちょっとつまずいてしまった……ということがないように、実践にあたっての注意点を教えていただけますか。

重光:日本のビジネスパーソンは真面目すぎるんですよね。マネハプの場で自分が話し終わったときに、「これで正しいですか?」とつい聞いてしまう。また、上司も「正解はない」としながら、部下の話に「○○じゃなくて△△だよ」と解答的なことをつい述べてしまう。イジワルな気持ちからではなくても、部下にすれば採点されているようなものです。

実践でつまずくとしたら、こんな風に、聞き手も話し手も枠から出られないことに原因のひとつがあります。

:どうすればうまくいくのでしょう。

重光:思っていることを何でも言っていい場をつくることです。

じつは私も、最初はこうした枠にがっしりとらわれていました。マネハプを始めたフィル・レニール(コーチングアワセルブズ・ドットコム代表)という人物がいます。彼と、1対1でマネハプをしたとき、まさに今言ったように「自分は正しく答えられただろうか」と不安になったんです。

しかし、フィルは私の話を聞き終えると、大きな笑顔で「interesting!!」とひと言。アドバイスも質問もいっさいありません。

こう言われた瞬間に腑に落ちたというか、解放された感じがしました。これがマネハプの真髄だと思います。

場の雰囲気を激変させたひと言

:聞き手は肯定も否定もせずにひたすら傾聴する、ということでしょうか。

重光:そういう場をつくるとコミュニケーションの幅が広がります。大切なのは最初に語る人がざっくばらんに話すことです。

マネハプを日本に導入したての頃、その形だけなぞって効果の上がっていないグループがありました。あるとき、ひとりが話の途中で「ぶっちゃけていいんですか」と聞いてきました。「もちろん」と答えると、彼は上司のことや職場の確執など、堰を切ったように話し始めました。その瞬間、場の雰囲気が変わり、そこからマネハプの効果が出るようになったのです。

ペナルティを気にせず発言でき、何を言っても受け止めてもらえる。そういう場がつくることができればOK。あとは、自分自身が楽になりたいという素直な気持ちで参加すればいいのです。

ミンツバーグの教えはとても日本的

:マネハプはヘンリー・ミンツバーグ教授らが開発したプログラム、とご本にありました。プログラムを開発したミンツバーグ教授とはいつ出会われましたか。

重光:20年以上前に読んだ『マネジャーの仕事』(白桃書房)という著作でミンツバーグを知りました。当時、マネジャーになったばかりの私には、実務的な視点で書かれた本書はとても参考になりました。

実際にミンツバーグに会ったのは2006年のことです。欧米にリサーチに行く機会があり、せっかくだから、経営学の権威(グル)と称されるミンツバーグに会おうと思ったのです。

私は、ミンツバーグが考案したプログラムは、もともと日本がやっていたQC(品質管理)やTQC(総合的品質管理)のプロセスと同じものだと考えています。「仕事に誇りを持つ」「仲間との絆を深める」「自信を持ってイキイキする」「自分の人生が仕事の意義をより深める」を大事にするという点で、ミンツバーグがやっていることはマネジメントのQCサークルなのです。

マネハプは、日本にあったものを改めてミンツバーグに教わったようなものと言っていいでしょう。

「ベテラン社員」の活躍推進にも

:マネハプやミンツバーグに関してもっと深く知りたい方にお薦めの本を教えてください。

重光:やはりミンツバーグ自身の本が一番です。『MBAが会社を滅ぼす』『マネジャーの実像』(いずれも日経BP社)などがありますね。特に『マネジャーの実像』はぜひ読んでいただきたい1冊です。29名のマネジャーに行った密着調査を元にマネジャーの本質を明らかにしています。フィル・レニールと私が試行錯誤しながら、このプログラムを日本へ導入した経緯をまとめた『ミンツバーグ教授のマネジャーの学校』(ダイヤモンド社)も参考になるでしょう。

また、ベテラン社員の活躍推進にどうマネハプを活かすかを紹介した『なんとかしたい!「ベテラン社員」がイキイキ動き出すマネジメント』(日本経済新聞出版社)もお薦めです。

 

 

重光 直之(しげみつ なおゆき)
株式会社ジェイフィール 代表取締役
株式会社ニイタカ、社団法人日本能率協会を経て、2007年ジェイフィール設立に参画。ヘンリー・ミンツバーグ教授との出会いを機に「リフレクションラウンドテーブル」を日本に導入。日本に適したプログラム化を行い、自らファシリテーターを担当。ミドルマネジャーの成長とコミュニティ形成を支援する活動を重ねており、「リーダー主導の組織変革」から「ミドルマネジャーのコミュニティから湧き起こる組織力開発」を社会に広めることをミッションとしてコンサルティングを行っている。

※本データは、小社での最新刊発行当時に掲載されていたものです。

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