ストレスに負けない心を作る!

対処できる思考を増やすテクニック

日本経済新聞出版社

ストレスを感じたときの反応には個人差がある

ストレス反応とは、何かしら嫌な出来事を体験したことで「気分が落ち込む」「食欲がなくなる」「呼吸が浅くなる」「眠れなくなる」など心や体に現れる何らかの反応を言います。反応の現れ方は人によってさまざま。「仕事を失敗して上司に厳しく叱責された」という同じような出来事に直面しても、ケロッとしている人もいれば、非常にショックを受けて落ち込む人もいます。

こうした「反応の個人差」に影響する考え方を、ここでは「メンタルタフネス」と呼ぶことにします。メンタルタフネスは直訳すれば「精神的な強さ」ですが、具体的には、ストレスを感じる出来事(=ストレッサー)をどうとらえ(=認知)どう対応するか(=対処行動)。その人なりの反応の仕方を指します。

例えば、「部署間の調整がうまくいかず、なかなか思うように仕事が進まない」という状態だとします。多少なりともストレスを感じる出来事ですが、粘り強くほかの部署と交渉を続けられる人がいる一方で、「なぜ言ったとおりにできないんだ!」と先方の部署に声を荒げて抗議し、当たり散らす人もいます。

後者の場合は、声を荒げることで他部署の担当者が折れ、言うことを聞くケースもあるかもしれません。しかし、そのときは折れたとしても大きな反発を食らうのは必至。長い目で見れば、結局仕事が早く進まない原因になることがあります。本人は事態を打開しようと声を荒げているという意味ではストレスへの対処法と言えますが、必ずしも良い結果を生むとは限らないのです。

ほとんどの人は一度にさまざまなストレッサーに直面し、ストレッサー側も日々変わります。「毎回、同様に対処すれば必ず良い結果を生む」という絶対的な方法は存在しません。大事なのは、その時々のストレッサーに対して最善の対処をしようと本人が努力するかどうか、なのです。

ここで登場するのが「メンタルタフネス」です。メンタルタフネス度が高いのは、本人がストレッサーに対して最大限努力していることを表します。低ければ、何もしていないことになります。ストレッサーを退治するためにどんな武器を使うのか。このときの武器の種類をメンタルタフネス度と考えるとわかりやすいでしょう。メンタルタフネス度は数値化でき、自身の値を測定することができます。自分が普段、ストレッサーに対してどう行動しているのかを振り返るときに役立ちます。

「対処できる思考」を増やし出来事を重く受け止めない

 メンタルタフネスを高めるためには、具体的にどのようなことを心がければいいのでしょうか。認知や対処行動は、ストレス改善に対してプラスに作用するものとマイナスに作用するものがあります。プラスに働く認知の代表が「対処できる思考」です。これは、今自分が直面するストレッサーに対して自力で何とかできる、自分なりの見通しを持てるかどうかを言い表しています。一方、ストレス改善に対してマイナスに働く認知の代表が「出来事を重く受け止める傾向」です。

 左図に、対処できる思考を増やすテクニックと、出来事を重く受け止めにくくするテクニックをまとめました。

 例えば「営業成績が伸びず上司に叱責され、訪問先を増やすという問題解決行動をとったのにすべての約束を断られてしまった」というケースがあったとします。結果が悪くても、「顧客に関心を持ってもらえるプレゼン方法に気づいた」などの発見があり、「次はうまくいく」という対処できる思考につなげられるかもしれません。別の視点から考えることは、ストレッサーに直面したときの対処できる思考を強めて問題解決行動のようなプラスの対処行動の選択肢が1つ増えることになります。こうした思考の幅を広げることが、プラスの認知を導くのです。

「がんばったけど、うまくいかなかったこと」の良い結果を探し、プラスの認知へ切り替えましょう。

「対処できる思考」を増やすためのテクニック

自分にポジティブメッセージ

1)「大丈夫」「できる」などのポジティブメッセージを自分にあげましょう。
  (人によってしっくりくる言葉が違います。あなたに合うメッセージは何でしょうか)
  例:「うまく対処できる」というメッセージが始業前に携帯電話の画面に表示される。
2)(1)に慣れたら、きっかけがなくても自分にポジティブメッセージを出しましょう。
  (頭の中で、つぶやく)

他者の成功をお手本に

1)お手本となる人(能力や立場などが自分に近い人)を探しましょう。
2)お手本の対処行動をチェックしましょう。
3)お手本が成功した対処行動をまねしてみましょう。

過去の成功体験の想起

1)以前に直面したストレッサーに対して、うまくいった対処行動をリストアップしましょう。
  (現在の状況と類似した状況が、より参考になります)
2)お手本の対処行動をチェックしましょう。
3)思い出した対処行動が成功した理由を考えましょう。

「出来事を重く受け止める傾向」を減らすテクニック

否定的予想結果を現実的に検討しましょう。

1)予想される否定的結果の記述
2)結果の嫌悪度を数値化(0点:まったく問題ない~10点:とても耐えられない)
3)結果の発生確率の数値化(0点:起きない~10点:必ず起こる)
4)(2)と(3)をかけて点数を出す
5)否定的結果を過剰に恐れていないかなど、現実的に検討する

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