第3回 メッツのTシャツ

大宮エリーのなんでコレ買ったぁ!? リターンズ

大宮エリー

なんでこれ買った?!

ニューヨークに行くことになり、そして友人夫婦と彼らのお店の従業員たちの社員旅行になぜか私、参加することに。「やっぱ、ニューヨークっていったら野球やろ!」と言うのだ。私は高校時代、男子部に野球部があってとても強く、甲子園にはまっていたが、それ以降はろくに野球場に行っていない。大阪出身だからテレビでなんとなく阪神タイガースを応援しているくらい。それがだ。「今日、メッツやってるって」

スマホで調べていた友人がチケットをネットで購入し、ぞろぞろみんなで行くことに。これが、日本の球場と全く違って面白い。ディズニーランドみたいなのだ。バーがあったり、お土産物屋さんもあの夢の国みたいな感じ。それから試合の前や間にショーがたくさんある。何より驚いたのは、大きな電光掲示板にピカピカな文字が出て、お客さんを煽る。

「さあ、みんなで応援しようぜ!」「ゴー!ゴー!メッツ!」「さあ、みんなも一緒に!」と出ると、みんなが、その爆音に合わせて、「ゴー!ゴー!メッツ!」と大合唱。飛び跳ねる人も踊る人も。「みんな、楽しんでるかーい?」と言われて、オーディエンスが「いえーーい!」。ディスコって感じ。その中で野球もあるという。だから試合も真剣勝負、ピリピリっていうよりも、ショーを見ている気分。まあ、選手たちは真剣勝負なんだろうけれど、ガム噛んでるし。野球の試合っていうよりも、大リーグっていうジャンルだ。

「次はみんなのヒーロー、エイドリアン・ゴンザレス!」などとあって、みんながエイドリアンコール。私らもよくわからないままたくさん叫んだ。試合は逆転ホームランでメッツの勝ち。長い試合で途中寝ていた友人らも最後は大興奮。お土産物屋でメッツのTシャツとかグッズ買いまくり。にわかすぎだろ。にわかメッツファン、たくさんグッズを買う。Tシャツは逆転ホームラン打った、ハービー。

人間って不思議。ゴーゴーメッツ!って叫んでいるうちに、ファンになっちゃうんだから。刷り込みって怖いね!

(次回は5月11日更新の予定です)

 

撮影:諸井純二

大宮エリー おおみや えりー/Ellie Omiya
作家、演出家、画家、ラジオパーソナリティー、脚本家、CMディレクターなどボーダレスに活動。
主な著書は、『生きるコント』(文春文庫)、『なんとか生きてますッ 』(毎日新聞出版)、コンプレックスが解消する短編集『猫のマルモ』(小学館)、『思いを伝えるということ』(文春文庫)、心の洗濯ができる写真集『見えないものが教えてくれたこと』(毎日新聞出版)など。そして最新刊『なんでこうなるのッ?!』(毎日新聞出版)が好評発売中。
現在、「サンデー毎日」「朝日中高生新聞」「シティリビング」にて連載を担当。
2012年よりPARCOミュージアムにて「思いを伝えるということ展」という体験型のインスタレーションを発表、アート活動をスタートさせる。
近年では画家としても活動。昨年は十和田市現代美術館にて美術館での初の個展「シンシアリー・ユアーズ」を開催。
2017年は福井県 金津創作の森にて個展を開催。愛媛県の芸術祭、道後オンセナート2018、六甲ミーツアート2018に参加。

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