日本人が気づかない 中国人の変化

私たちは、ステレオタイプな「中国人像」に縛られている

中島恵(なかじま・けい)

日本人が想像できない青い目の「中国人」

 中国の人口は日本の10倍以上、国土は25倍以上もある。中国は多民族国家であり、目の色が西洋人のように青く、髪が茶色の人もいる。北部と南部、沿海部と内陸部では人の体格や顔立ち、食習慣、言語も大きく異なる。

 都市と農村の格差は非常に大きく、生活水準や教育レベル、家庭環境も「これが本当に同じ中国人なのだろうか?」と驚くほど異なる。中国と30年以上付き合ってきた私も「まだ出会ったことがないタイプの中国人」が大勢いるだろう、と想像する。

 しかし、私たち日本人が一般的に思い浮かべる「中国人像」は皆一様で「ステレオタイプ」であり、長い間ずっと変わることがない。これは、私たちが「中国人はきっとこうであるはずだ」とか「こうであってほしい」というバイアスや願望を持っているから、ともいえる。

現に、冒頭で紹介したような事象も起きており、そちらの情報に引っ張られてしまう。そこから想像を膨らませるのは至難の業だ。もし私もその観光地に住んでいたら、目の前の事象のみが彼らのすべてであると思い込み、巨大な国家に住む彼らの「変化」や「多様性」には気づけないでいるかもしれない。

 だが、「中国人像」に限らず、どのようなことであっても、現実に近づけば近づくほど、複雑で目に入りにくいところにこそ、真実がある。物事は一面ではなく多面であり、見る方向によって180度異なることがあるのだ。

 今、中国国内では爆発的にキャッシュレス化が進み、スマホによるモバイル決済が生活の主流になっている。モバイル決済を前提としたシェア自転車などシェアエコノミーも進み、その勢いは日本市場にも入り込みつつある。発展を続ける中国では画期的なビジネスが生まれ、中国人も日々変化しているが、その変化がなかなか日本人に伝わらないのはなぜなのだろうか。

 私は拙著『なぜ中国人は財布を持たないのか』の中で、変わりゆく中国人の生き方、考え方、ライフスタイルを書いた。これから中国は、中国人はどうなっていくのか。少なくとも、彼らは私たちの想像を絶するスピードで大きな変化を遂げ、走り続けている。それだけは確かだ。

関連著者・監修者

中島 恵(なかじま けい)

ジャーナリスト
1967年、山梨県生まれ。北京大学、香港中文大学に留学。新聞記者を経てフリージャーナリスト。中国、香港、アジア各国のビジネス事情、社会事情などを執筆している。著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』『なぜ中国人は財布を持たないのか』(ともに日本経済新聞出版社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『「爆買い」後、彼らはどこに向かうのか?』『中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか』(ともにプレジデント社)などがある。

※本データは、小社での最新刊発行当時に掲載されていたものです。

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