著者(著作権者・著作権管理者)の皆様へ

「Googleブック検索」和解に関するご連絡

 先般より、Googleとアメリカ作家組合及びアメリカの大手出版社との著作権侵害訴訟における和解が、日本の著者および出版社にも影響が及ぶことが判明し、新聞等で様々に報じられております。この和解に、皆様多大な関心と疑問をお持ちのことと存じますので、状況をご説明するとともに、当社としての考え方をお伝えいたします。

和解の経緯及び内容について

 Googleとは、インターネット上の検索サービスを提供しているアメリカの会社です。Googleは数年前から、ハーバード大学など主要な大学等の図書館と提携し、権利者の許諾を得ずに無断でデジタル化してきました。すでに700万作品以上の書籍がデジタル化・データベース化され、なかには内容を全文検索・全文表示できるものも存在します。
 しかし、こうした作業を権利者の許諾なく無断で行ったのは著作権の侵害に当たるとして、アメリカ作家組合と大手出版社5社(McGraw-Hill、Pearson Education、Penguin Group、Simon & Schuster、John Wiley & Sons)は、2004年にGoogleに対して訴訟を起こしました。
 ところが昨年10月、Googleと作家組合・出版社の両当事者間でこの訴訟における和解が成立し、本年6月には裁判所によってその和解が正式に認められる見通しになりました。
 この和解案の内容の骨子は、権利者側は2009年1月5日以前に刊行された書籍についてGoogleがデジタル化を継続して行い、非独占的に「個人や団体への本文のオンライン販売」「ページ表示や数行の抜粋表示」などをすることを認める代わりに、(1)Google側は、権利者の許諾なしにデジタル化した書籍に対して、請求に応じて1冊あたり60ドルの対価を支払い、(2)今後、Googleが運営する「書籍データを利用した商業的サービス」の売上の63%を権利者に分配していく、というものです。また、(3)権利者は個別の書籍について、Googleに対して「データベースからの削除」「本文表示利用の停止」ができるとしています。
 なお、Googleが今回の和解をもとに今後行う商業的サービスはアメリカ国内のパソコンからアクセスした場合に限定され、日本国内のパソコンから利用することはできません。

なぜ日本の著者や出版社に影響が及ぶのか

 Googleと提携した図書館の蔵書には、日本はもちろん世界中で出版された書籍も多数含まれています。これらの書籍はそれぞれの国の著作権法で保護されているだけでなく、著作権に関する国際条約である「ベルヌ条約」が批准された国では、相互に著作権が保護されています。日本、アメリカともに同条約を批准していますので、日本の著作権はアメリカにおいて法的に保護され、アメリカの著作権は日本において法的に保護されています。
 従って今回の和解は、アメリカ国内で行われた訴訟に関するものですが、日本の著者・出版社も、アメリカ国内で著作権法によって保護されているために、アメリカの著者・出版社と同じようにアメリカにおける「共通の利害関係者」となります。
 さらに、この訴訟は「集団訴訟」(クラス・アクション)として扱われたため、訴訟に参加している当事者と利害の共通する関係者には、この訴訟に参加していなくても効力が及ぶことになります。この結果、日本の著者や出版社にも影響が及ぶことになりました。
 なお、Googleは、権利者の許諾なしにデジタル化を行った理由を、アメリカの著作権法で認められている「フェアユース(公正利用)」であるとしています。それゆえGoogle側はデジタル化対象書籍を、アメリカ国内の一般書店ルートで流通していない「絶版または市販されていない書籍」としていますが、当然ながら日本語の書籍はふつう、アメリカ国内の一般書店では流通しておりません。結果的に、日本において絶版か否かに関わりなく、ほぼ全ての日本語の書籍がGoogleによってデジタル化される可能性があります。

 訴訟の経緯、和解の内容についてより詳細にお知りになりたい方、ご自分の作品がデジタル化されているかどうかを確認したい方は、下記ホームページをご覧ください。
・社団法人日本書籍出版協会(書協) http://www.jbpa.or.jp/
・Google「Googleブック検索和解契約」http://books.google.com/intl/ja/googlebooks/agreement/

権利者がとることのできる選択肢

 この和解案に対し、権利者がとることのできる選択肢は大きく分けて2つあります。
  A:和解に参加
  B:和解に不参加(和解から離脱)
 2009年(本年)5月5日までに何もしなければ、自動的に「A:和解に参加」することになります。逆に「B:和解に不参加(和解から離脱)」の場合には、本年5月5日までにGoogleに対して、ネットもしくは書面で申し入れを行わなければなりません。
 Googleに対して、(1)自分の書籍がデジタル化されていた場合に1冊あたり60ドルの「解決金」を請求する、(2)書籍のデータベースからの削除を要求する、(3)データベースからの削除は要求しないが、本文表示利用からは外させる、(4)逆に表示利用停止から復活させる、といった場合、いったん和解に参加してから手続きをすることになります。現時点では、和解に参加しないと、これらの手続きはできません。
 「和解に不参加」の場合は、書籍のデータベース化や本文使用についてGoogleを著作権侵害で訴えることができますが、訴訟等は各自の費用負担で行わなければなりません。
 和解への参加/不参加のどちらを選択されるかは、著作権者である皆様にお決めいただくことになります。もし「和解に不参加」を選択される場合には、皆様ご自身の手で手続きをしていただく必要があります。

 Googleに対して「和解に不参加」を申し入れる場合は、Googleブック検索和解サイト内のhttp://books.google.com/booksrightsholders/から「和解からの除外」をクリックしてください。

当社の考え方

 この問題について、当社は次のように考えています。
 Googleがデジタル化またはデータベース化の作業を行った書籍には、当社および当社の前身である日本経済新聞社出版局が刊行した書籍も3,000点前後含まれているようです。
 当社の対応としては、著作権保護の観点から和解に参加します。そのうえで、当社が著作権をもっている全ての書籍について、データベースからの削除をGoogleに要求します。
 当社としては、Googleが権利者の許諾なく書籍をデジタル化し、無断でオンライン販売等の商業利用を行おうとしたことに賛同できません。また、Googleによってアメリカ国内でオンライン販売された書籍コンテンツが不正利用され、ネットを通じて日本国内に流れる危険性、解決金の支払方法および時期など、解決すべき問題点が多数存在すると言わざるを得ません。総合的にみると、Googleの行為は、著者・出版社の権利を侵害し、健全な出版活動の妨げになりかねないと考えます。
 しかし、もし「和解に不参加(和解から離脱)」という選択肢を取った場合、書籍のデータベースからの削除を要求することが困難になり、結果的にGoogleによる無断での商業的利用を無制限に許す事態を招きかねません。当社はあくまでも著者、出版社の立場と権利を守るべきだと考えます。そのため、まずは和解に参加し、Googleが無断でデジタル化した書籍データについては、2011年4月5日までに削除を要求します。

ご連絡・お問い合わせ等について

 先に申し上げましたように、当社としては本年5月5日までにGoogleに対して申し出を行うことなく、自動的に「和解に参加」する予定です。その後、2011年4月5日までにGoogleのデータベースからの削除を要求します。
 著作権者の皆様が当社と対応を同じくしていただける場合はご連絡いただく必要はございませんが、もし「和解に参加しない」、もしくは「和解に参加するが、データベースからの削除は希望しない」旨をGoogleに申し出ようとお考えの著作権者の方がいらっしゃいましたら、担当編集者もしくは下記の当社「Googleブック検索和解」対応窓口までお申し出ください。

2009年4月

付記(2009年4月30日)
米国の裁判所の決定により、著作権者の皆様がGoogleに対して「和解に参加しない」旨の申し立てを行う期限が2009年9月4日まで延長されました。

株式会社 日本経済新聞出版社

「Googleブック検索和解」対応窓口
電話:03-5255-2836/ファックス:03-5255-2864/eメール:pub-dig@nex.nikkei.co.jp
※お電話でのご連絡・お問い合わせは平日10:00〜18:00でお願いいたします。