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中国 静かなる革命
―官製資本主義の終焉と民主化へのグランドビジョン―

呉軍華 著

2,100円(税込)

四六判 上製 256 ページ
978-4-532-35318-6
2008年8月発売

2022年までに中国は、共産党の一党支配体制から離脱する。それは民衆の暴動ではなく、共産党自らの「静かなる革命」によって実現される。民主化は必然なのだ。経済と政治の両側から、中国の胎動を鋭く描く意欲作。

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おすすめポイント

ポスト北京オリンピック後の中国はどうなるのか。民主化へと追い込まれる共産党。圧倒的ファクトで、ポスト胡錦濤を読み切る。

目次

第1章 ポストオリンピックの中国経済
1 転換点を迎えた中国経済
2 高まる構造調整の圧力
3 今後の展望
第2章 中産階層の台頭と民主化からの逃避
1 失敗を重ねる「中国崩壊論」
2 反面教師となった旧ソ連・東欧諸国の激変
3 中産階層と共産党の「同盟」
第3章 「中国崩壊論」の崩壊
1 構造変化を先導した共産党の変身
2 「弱勢群体」の形成
3 専制政体に資する伝統文化 
第4章 政治改革の遂行へ背水の陣
1 2022年までの中国を見通す視点
2 リーダーシップと政治改革の可能性――「人の和」
3 政治改革遂行の「地の利」と「天の時」
第5章 経済成長が促す政治改革
1 社会主義市場経済は「官製資本主義経済」
2 政府行動の企業化(営利化)と脱公共化
3 持続的成長に向けて
第6章 民主化へのグランドビジョン
1 体制移行の契機
2 民主化に向けての助走はすでに始まっている
3 中国的民主主義は「和諧社会主義」なのか
4 和諧社会主義の構築に向けて

編集者より

「北京オリンピックをピークに、中国経済は崩壊する」といったセンセーショナルな議論をよく耳にする。たしかに、資産バブルは遠からず弾けるだろう。すでに株式相場は、急騰のあと急落を続けている。インフレの高進は収まらず、オリンピックを待たずして経済は調整色を強めている。

また、中国はこのところ、四川大地震をはじめ、大雪や水害などの自然災害の試練に直面している。多くの論者が指摘する所得格差や地域格差ばかりでなく、チベット問題に代表される少数民族問題、官僚の汚職、環境破壊なども深刻さを増している。

地方では農民の暴動なども急増しており、社会の歪みを是正しなければならないとの認識は、改革派であれ、保守派であれ、一致している。しかし、こうした事実を受けて、暴動による政府転覆や国家の分裂といった事態を予測するのは、およそ冷静な判断を欠いた議論だろう。

経済の実態を冷静に見れば、「崩壊」シナリオには無理がある。著者ばかりでなく、日本のシンクタンクも、最近ではIMF(国際通貨基金)の予測でも、伸びが鈍化するとはいえ、中国経済の成長を確実視している。では、社会の歪みは放置されるばかりなのだろうか。著者は、別の見通しを提示する。

実は、共産党指導部は、胡錦濤体制が確立する以前から、次の政治体制を模索、検討してきた。そして指導部は、さまざまな社会問題、経済問題の解決には、政治体制の一大変革が必要だとの認識を持つに至っていると、著者は明言する。この解決策こそが、本書のタイトルにもなっている「静かなる革命」だ。政治と経済を共産党が支配し、利益の多くが庶民ではなく官僚たちに流れる仕組み――官製資本主義が限界を迎えており、政治体制を民主化する以外に歪みを解決する道はない。しかも、民主化は旧ソ連や東欧諸国のような劇的な変革プロセスを経るのではなく、共産党みずからの手で粛々と進められる。そこには、20年前の天安門事件と同じ過ちは繰り返さないとの決意がある。

厳しい現状と、一方で進む中国の深部の「革命」の実態を、著者はさまざまな角度から明らかにする。その準備は、すでに始まっており、「天の時、地の利、人の和」、すなわちタイミング、環境、人の3つの要素がすべてそろうのが、ポスト胡錦濤体制を担う第5世代指導部だという。指導部の任期は2012〜2022年。その後半に、体制移行が実行されると著者は予測する。

これまで、中国の現状を読み解いた本は数多く存在した。しかし、本書ほど、これからの中国の進む道を、冷静かつ大胆に予測した本が存在しただろうか。国家の分裂や崩壊を語るだけであればたやすい。問題は、いかに説得力のある根拠とともに議論を展開できるかだろう。驚くべき地方政府の実態、知られざる指導部の動き、次の次を担う人たちの背景……。当代一流のエコノミストであり、チャイナウォッチャーである著者が、鋭い分析力、豊富な経験、あらゆるネットワークを駆使して書き上げた渾身の一冊。

私たちは、ついに超大国の新たな胎動を知ることになる。


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